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<9>斑尾高原農場(現・サンクゼール) 久世良三社長(05・6・14)

◆“田舎の豊かさ”を提案 首都圏でも直営店展開

写真:写真説明
 25歳で「ごみごみした東京を脱出」し、ペンション経営を経て、妻、まゆみさん(53)手作りのジャム製造販売を始めた斑尾高原農場(本社・三水村)の久世良三社長(55)。ブドウ栽培、ワイン醸造・販売、本社併設レストラン、ブライダル事業と業務を拡大し、最近は首都圏などで自社製品販売の直営店「サンクゼール・ワイナリー」を相次いで出店している。都会の人たちを引き付ける魅力は何か。(聞き手・新居益)

 ――「サンクゼール・ワイナリー」の展開状況は。

 過去6年で、季節店を含めて長野県9、山梨県2、関東地方7、関西地方5、鹿児島県1店舗を出店した。現在、約20か所から出店要請があり、3年以内に5店舗前後を出店したい。

 ――出店する上で、気を付けていることは。

 百貨店「プランタン銀座」(東京・銀座)などステータスの高い場所に絞っている。季節ごとにジャムの瓶のラベルを変えるなど、ファッション業界のプロモーションを参考にしている。ターゲットは、20〜60歳代で、食にこだわりのある女性だ。

 ――会社の基本戦略は。

 田舎の快適さ、豊かさがテーマだ。例えばフランスのボルドーやブルゴーニュは田舎だが、世界的な商品を作り、独特の食文化を持ち、誇りを持って暮らしている。そういう世界を日本で提案したい。

 ――「田舎」が受けているのだろうか。

 本社の醸造所やレストランを訪れるお客様は年々増えている。日本社会は、ちょっとした食のぜいたくで、心の豊かさを求める方向に変わりつつあると、ひしひし感じる。長野県の自然は元々、大都市で疲れた人を癒やす力を持っており、僕はそれを加工しただけだ。

 ――今後の予定は。

 1990年代半ばの経営危機をきっかけに、キリスト教信仰に目覚め、経営理念の根底に、聖書を位置づけるようになった。今、年間3万人を超える自殺者の大半は私の世代だ。都会で精神的に苦しんでいる人の社会復帰を助けるファーム(農場)のようなものを造りたい。  

   

 【社長の略歴】東京都豊島区生まれ。慶応大経済学部卒業後、ダイエーを経て父が経営する食品卸会社に勤務。75年に独立し、学生時代以来スキーで度々訪れていた斑尾高原でペンションを始める。ペンションをやめ82年、斑尾高原農場を設立。

 【会社概要】2005年5月期は売上高19億円、経常利益4000万円。従業員220人(パート含む)。世界的な食品品評会「モンドセレクション」で、同社の「ゆずジャム」は2005年度の大金賞を受賞した。

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