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若者就職難 農業に活路高齢化解消に期待「100年に1度」ともいわれる不況は雇用情勢にも影を落としているが、前向きに頑張る人たちも少なくない。就農に活路を見いだし、宇陀市榛原区の農園で1月から研修に励む男性を取材した。 奈良市内から車で約1時間。伊那佐山ふもとにある農業法人「山口農園」のビニールハウスで、尾崎聡史さん(28)がホウレンソウの収穫に追われていた。 土の中にハサミを入れ、茎を傷めないようにそっと根を切る。「葉が絡んで茎が折れることもあったけど、ようやく慣れた」と、流れる汗をタオルでぬぐった。 約30人の社員やパートとともに、葉野菜やハーブの有機農法を学ぶ。ここに来るまでは、故郷の静岡県新居町で暮らし、派遣社員だった。 大学を卒業し、1年間の海外修業を経て、2007年5月、中国・北京で開業予定の日本料理店に就職が内定していた。ところが、サブプライムローン問題に始まる世界的不況の波が押し寄せ、店の工期が遅れて開業は中止、内定も取り消された。静岡で人材派遣会社の登録派遣社員として再就職したが、引っ越しや、工場での梱包(こんぽう)、ライン作業や品卸しなど仕事の内容が次々と変わった。知らない人と顔をつきあわせることもしばしばで、仕事の有無が前日までわからないこともあった。 将来への不安を感じながら、友人の薦めで自然療法や環境問題に関する本を読むうち、農薬を使わない食材で料理店を開く目標が定まった。「まずは、自分で栽培することから始めよう」と、有機農法の研修制度がある農業法人を探し回っていた昨年暮れ、農業求人サイトで山口農園を見つけ、すぐに面接を受けた。 有機農法では、害虫、病気などの対策が重要になる。雑草より成長の早い作物を植えて草刈りの手間を省くなど、特性を生かすための専門的な知識も求められる。午前8時から午後5時までの作業後も自習が続く毎日。寮に戻るのは午後8時過ぎ。それでも尾崎さんは苦にならないという。「30歳までに独立する夢があるから」。 同農園の山口武社長は「夏はとくに重労働。ビジョンと熱意がなければ、就農は難しい」と話す。県内で農業に従事する人の平均年齢は66・6歳。耕作放棄地率は全国7位の18・5%と、2005年の国の調査結果にも表れている。尾崎さん以外に、同園で農業への転職を希望する研修生はわずか4人。県内全体でもまだ少ないという。 県は1月、農業法人の紹介窓口を県庁などに設置したが、離職者からの相談はゼロ。そこで、今年度からは、新規参入者向けに研修プログラムをつくり、農地も紹介するなど支援の強化に乗り出した。 県担い手・農地活用対策課の藤井幹雄課長補佐は「食の安全が問題になる中、付加価値があれば外国産にも勝てるようになってきた。消費者の需要にうまく応えることができれば、大きなビジネスチャンスになる。若者が活性化の原動力になってほしい」と期待する。(須藤祐介) (2009年5月6日 読売新聞)
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