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(3)太陽光発電(2003/1/4)

環境に配慮した融雪装置を開発
 昨年八月末、安塚町で「住まいづくりフォーラムin安塚」(同町など主催)が開かれた。雪を利用した冷房装置など最新住宅機器類が並ぶ中、一つの装置が注目を集めた。

 六日町の融雪機器開発メーカー「新潟アトラス」が、兵庫県の精密機器メーカーと共同開発した融雪機能付き太陽光発電システム「幸国(ゆきぐに)ルーフ」。夏場に太陽光発電で得た電気を東北電力に売電、冬場は逆に電気を買って融雪ヒーターと太陽光パネルを発熱させ、屋根の雪を完全に溶かすという仕組みだ。「電気が売れて除雪の手間も省けるの?」。“一石二鳥”のアイデアに驚きの声が上がった。

 豪雪地帯に暮らす人たちにとって、屋根の雪下ろしは宿命。しかも、一年の三分の一は雪に閉ざされ、太陽光発電機器の設置に不向きと思われていたからだ。

 「この装置は雪国の既成概念を新しい発想で打ち破り、解決できるのです」。開発に携わった同社販売促進企画主任の小宮山覚さん(31)は、胸を張った。

 元は建築設計士。建設不況のあおりで「“図面引き”の居場所はない」と焦燥感を抱いていた時、知人に装置開発への誘いを受けた。「夢のある話だ」。漠然とそう感じた。


太陽光パネルのメンテナンスをする小宮山さん。「雪国を“幸国”(ゆきぐに)へ導くことができれば」と話す
 新エネルギー財団の調べでは、本県の太陽光発電機器設置件数は全国三十八位。普及が遅れたこの地で、なぜ小宮山さんは太陽電池と融雪ヒーターの一体化を目指したのか。

 既存の融雪装置には課題があった。広く利用されているのは灯油燃料によるボイラー式だが、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出する。電気ヒーター式は、電気代がひと冬に五万円程度もかかり、普及は今ひとつだった。

 電気ヒーター式の運転費用を、太陽光発電での売電収入でまかなえば、環境配慮型の融雪装置は完ぺきになる。しかも、太陽光パネル上の雪も溶かすから、家庭で使用する程度の電気は冬場でも発電できる。

 「融雪機器メーカーも例外なく、社会の要請は自然エネルギーをいかに利用するか」(社団法人・雪センター北陸支部)という時代が来ていた。自ら地元で市場調査も行い、好反応を得た。「夢」が確信に変わった。

 資本金一千万円で会社を設立したのは一九九九年。雪が滑り落ちて軒下の除雪に手間がかからないように雪止め策を施すなど、雪国育ちらしいアイデアも形にした。装置が完成したのは二〇〇〇年だった。

 まだ県内で四台しか普及していない。価格が五百万円台と、ボイラー式より割高になるのがネックだが、昨夏に自宅に設置した小国町の男性(59)は「メンテナンスがいらず、太陽光発電の利用で運転費用も安く済み、長い目で見れば経済的。まだ一度も雪下ろしをせずに済んでいますよ」と話す。

 この装置の開発をきっかけに、様々な融雪装置にも手を広げている。開発中の遠赤外線による歩道融雪装置は旧建設省東北地方建設局東北技術事務所に技術の青写真が評価され、二〇〇〇年には助成金も受けた。

 「雪国だからこそ雪をうまく利用していきたい。閉ざされた雪国から技術や発想を発信したい」。従業員わずか三人のベンチャー企業は、雪国を“幸国(ゆきぐに)”へ導きたいと考えている。(植村 直人)


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