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助け合いテーマで劇団 <8>

和気合併後の新町に一体感を

新作のけいこを始めた「和気・清麻呂座」のメンバーたち(和気町総合福祉センターで)

 和気町で〈助け合いの町づくり〉を進めようと結成された町民劇団「和気・清麻呂座」が、活動の輪を広げている。2006年3月に和気、佐伯の旧両町が合併。両方の住民が劇団に参加する。新町に一体感を生み、地域おこしにつなげるのが目的だ。運営費は町の補助の年間10万円だけ。メンバーが役割分担しながら舞台道具を手作りし、脚本や音楽も自作する。昨年8月の初演で、熱演が町民の心を打ち、メンバーも増えた。2月に4回目を公演、新作もでき、12月には和気の名物にしようと、第1回演劇祭を開く。

 劇団は、新しい町が、その理念〈助け合いの町づくり〉を町民に伝えようと町民に呼びかけ、昨年5月に結成した。最年少は町立本荘小2年鳥越萌奈ちゃん(7)。最高齢は元中学教諭の草加昭貳(しょうすけ)さん(80)だ。

 座長の畑上毅さん(66)は、町青年団時代の演劇部員。監督、脚本の久井勲さん(55)は、奈良時代の官人・和気清麻呂を題材にした歴史小説などの著書がある。演出の竹内好香さん(39)は、備前市のアマチュア劇団のベテラン団員。作曲担当の小林由佳さん(34)は音楽教室を主宰している。

 当初、24人だったメンバーは現在、34人で、役者は22人、裏方12人。同町職員の井上美代子さん(59)は昨年7月のある日曜日、町総合福祉センターで、劇団の第1作「忠恕(ちゅうじょ)(真心・おもいやり)の心」のけいこを見た。腹をすかした我が子のために食べ物を盗んだ泥棒を、住民がかばう山場のシーン。熱演に感動し、10分ほど見続けた。

 翌日、劇団事務局を担う町まちづくり政策課の田村正晃係長(44)に「定年になったら、裏方を手伝いたい」と申し出た。「定年と言わずに」と求められ、すぐに加わった。

 舞台のすそから台本を見ながら芝居を見守り、セリフが詰まると、そっと教える。幕あいに舞台道具を入れ替える。「友達が増え、自分の世界が広がった」と話す。「裏方 井上」と書かれた胸の名札が、誇らしげだ。

 約2年前、岡山市から旧佐伯町に移った尾崎智美さん(41)は「多くの人と知り合いになり、地域に貢献したい」と、昨年12月から参加した。

 舞台で使う道具は、手分けして作った。背景のお堂、渡し場の舟は、元看板塗装業の畑上さんがベニヤ板で作り、みんなでペンキを塗って仕上げた。役者の草履はメンバーの母、山形操子さん(69)が本を見ながら、ビニールヒモと古着の端切れで編んだ。着物はメンバーが持ち寄った古着を直した。

 1作目のけいこは、わずか3か月間だったが、同センターでの初演は、観客席の町民約800人をわかせた。再演を望む声が多く、これまで3回。町内のボランティアグループ「きらり和気」代表藤原弥栄子さん(55)は「皆が支え合うまちにしたい、という思いが舞台から伝わり、感動した。これからも和気を元気づけて」と期待する。2月24日午後1時半、同センターで4回目を上演する。

 演劇祭は竹内さんが発案。「藤まつり、和文字焼き、ふるさと祭りと並ぶ和気の4大イベントにしたい」と張り切っている。

 新作2本も久井さんが1か月半がかりで書き上げた。第2作「一掬(いっきく)の涙〜徳はひとりならず」は、環境問題をからめ、ウンカの虫害に悩む農民を夜逃げした夫婦と庄屋が救う物語。第3作「柳は緑、花は紅」は、ひと旗あげようと故郷を出て、おちぶれて帰った男を妻子が迎える話で、4人で演じる25分のショートストーリーにした。1作目と同じく時代劇で、テーマはもちろん<助け合い>。

 今春の初演を目指し、けいこは熱を帯びる。同センターにまた、紋付きはかま姿の座長・畑上さんの前口上が響く。「人と人との助け合いの思いを、おくみとりいただき、末永いごひいきを賜りますよう、隅から隅まで、ずずずぃーと、おん願いあーげ奉りまする」(日下一功、おわり)

2008年1月11日  読売新聞)
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