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がん患者元気のメーク

患者にメークを手ほどきする長内さん(左)と武田さん(右)

 乳がんを患い、抗がん剤で髪が抜け落ちるなどの副作用を経験した大阪市の女性2人が、闘病中の患者のためメークやウイッグ選びを手ほどきしている。治療で容姿が変わって傷つき、外出をためらう患者は多い。「悩みを解消し、前向きになれれば闘病も楽になる。外見の変化をおしゃれにカバーする方法を伝えたい」。体験を糧に寄り添っている。(佐々木栄)

 長内真弓さん(49)と武田伸子さん(48)。

 長内さんは2004年に乳がんの手術を受けた。抗がん剤治療が始まると3週間で髪が抜け、顔もやつれ、鏡を見るたび惨めになった。「誰にも見られたくない」。家にこもりがちになった。

 その頃、知ったのが医療用メーク。ウイッグを付け、講習会に通った。副作用で肌もくすんでいたが、まゆを描き、チークを入れると表情がぱっと華やいだ。「元気に見せれば、心も元気になれるんだ」と実感でき、力がわいた。

 本格的にメークを学ぶうち、「ほかの患者さんにも伝えられたら」との思いが芽生えた。カウンセラーの資格も取り、何かできることはないかと模索した。

 抗がん剤投与は心身への負担が大きい。体力が低下し、再発の不安に襲われ、病気のことで頭がいっぱいになる。容姿のことまで気が回らず、こうした悪循環で引きこもる患者は多い。

 「闘病中の苦痛を取り払う手助けがしたい」。同時期に入院していた<がん友>で、スタイリストが本業の武田さんに相談。08年1月、2人は通院先の大阪厚生年金病院(大阪市福島区)の患者向けに、ボランティアでメーク講習会を始めた。

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 ラベンダーの香りで満ちた院内の一室。カラフルなメーク道具と様々なウイッグが並ぶ。訪れた女性患者(46)に、長内さんは1枚の写真を示した。写っているのは、髪が抜け落ちた6年前の自分。「大丈夫。元に戻りますよ」。女性の表情は一気に和らいだ。

 ファンデーションで肌を整え、アイラインを引き、ほおにはピンクのチーク。循環をよくするマッサージを施すと顔のむくみもとれ、きりっと締まった。女性は「体験者の言葉には説得力がある。悩みも分かってくれるし、安心できる」と笑みを浮かべた。

 1年前から通う大阪市の加納智子さん(47)にとって、メークと語らいの時間は闘病中の気分転換という。「ここに来て、外出する勇気が持てた。今は、ウイッグで色んな髪形を楽しんでいます」と明るい。

 長内さんは「容姿の変化は切実な悩み。病院はケアの一環として、もっとメークやウイッグの情報を提供してもいい」と話す。

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 これまでに担当した患者は約200人。今年からは府南部の総合病院でも講習会を行っている。2人は言う。「がん患者だからといって、心や生活まで病気で染まらなくていい。顔を上げて過ごせるよう、少しずつ活動を広げていけたら」

 講習などの問い合わせは長内さんのメール(mayumi‐o@marble.ocn.ne.jp)へ。

2011年1月30日  読売新聞)
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