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革新の試みが伝統に

岡本 作礼さん 51

三つの膨らみがある「黒陶瓢花入」の焼き具合をみる岡本さん

 400年の伝統を誇る唐津焼。九州陶磁器の草分け的存在で、有田焼など県内各地の焼き物にも影響を及ぼした。そんな草創期の「古唐津」の時空を思わせる唐津市南西部の作礼山(887メートル)の中腹に窯を構えるのは、岡本作礼さん(51)(唐津市厳木町)。

 独立して21年になるが、転機は2002年、05年のフランス陶芸家との交流だった。「食器を作るのはクラフトマン(職人)の仕事。詩情がない作品は芸術ではない」との言葉に刺激を受け、より芸術性の高い焼き物を意識するようになった。地元で開かれるコーヒーカップ展などでも毎年、新たな試みを施した器を出品する。

 今回、出品するひとつは「黒陶瓢(ひさご)花入」。昨年秋、茶陶の収集で名高い京都の野村美術館で開いた個展用につくった。ヒョウタンは二つの膨らみがあるものが一般的だが、この作品は三つある。胴の膨らみとくびれのバランス。一番上と下のくびれ部分には輪郭線を入れ、締まりを持たせた。

 「僕の特徴のひとつは、ロクロの生きた線。それをさりげなく見てもらえる個性的な作品を選んだ。作業をしていて、思いつきで三つの膨らみが浮かんできた。フォルムでの勝負と思って」と語る。

 古唐津の陶片などを収集し、ロクロの回転の速さ、皿の底の高台部分の削りなどから、当時の陶工たちがどんな思いで焼き物を作っていたか想像するのが楽しいという。「そんな伝統も、当時は革新的だったはず。その時代の最も新しいものしか伝統になり得ない」と言い切る。

 最近、市内浜玉町の山奥でとれる「山瀬」といわれる土にこだわって作陶する。「質感、土感があり、古唐津のにおいがする、僕にしかつくることのできない焼き物を残していきたい」と意欲にあふれている。

2009年5月1日  読売新聞)
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