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祈るように自然と藤ノ木土平さん(59)ウグイスの軽やかな調べに交じって、遠くからヒヨドリの鋭い鳴き声が聞こえる。新緑の香りを漂わせた風が、3畳ほどの茶室にそよぐ。自ら焼いた茶わんを使って茶をたてる藤ノ木土平さん(59)は「ここちいい空間と時間。心がやすらぐ」と一息入れる。 唐津市の西の台地(鎮西町野元)に「土平窯」を構える藤ノ木さんは、新たな土や釉薬(ゆうやく)で焼いた茶わんを毎日、庭の茶室で使う。手に持った感じ、口触り、表面に入るきめ細かなひび模様「貫入(かんにゅう)」の具合などを点検するためだ。 「作品の良しあしは、100年後に評価されるかどうかがポイント。てらい、気負いが感じられる作品でなく、やさしさ、愛、祈りがあるかどうか」と語る。 唐津焼の草創期に盛んにつくられた茶陶。堺(大阪府)などの商人たちが茶の器を求め、茶人と美濃(岐阜県)の陶工、友禅(京都市)の絵付け師たちを呼んで焼かせた一大プロジェクトだったのでは、と推測する。 人を感動させる焼き物を目指して、最もこだわるのが土。「土の顔を引き立てる」と表現し、40種類の土の個性を造形、焼きのなかでどう引き出すかに腐心する。 そのひとつの試みとして年1回、穴窯を11日間たく。まきの松の灰が炎とともに窯の中を飛び交い、窯詰めした皿や湯飲みなどに付着しては熱で溶ける。黒く焦げたり、緑色のビードロ状になったり。「自然釉(ゆう)の妙は、酸素をしっかり抑えた還元の方法で焼かないと出ない。いわば土の限界への挑戦といっていい」 9人の競演となる今回の展覧会。「個性の強い作家たちが点から線になるきっかけになれば。唐津焼の博物館や資料館の必要性を多くの人たちに知ってもらい、機運を盛り上げる一助にもしたい」との思いを込める。 いろいろな人たちに、焼き物を「文化」として見直してもらう機会となることを期待したい。(おわり。この連載は山田和男が担当しました) ◇ 連載で紹介した9人の唐津焼作家の作品を集めた「古唐津に魅せられたもの達――9人の挑戦」展は12〜22日(月曜休館)、有田町の九州陶磁文化館で開かれる。入場無料。 (2009年5月11日 読売新聞)
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