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その4  らき☆すた(2009年11月24日)

アニメ文化で街おこし

美水かがみギャラリー幸手で、主人公の泉こなた(右)などが描かれた絵を手にする山内さん。ギャラリーは好評につき来年度も続けられる見通しだ

 宿場町の風情を残し、歴史を生かした街づくりを進める幸手市に、近年、“異文化”が流入した。地元を舞台とする人気アニメ「らき☆すた」の出現だ。

 「らき☆すた」は、幸手市出身の漫画家・美水(よしみず)かがみさん(32)(さいたま市)の4コマ漫画。個性的な女子高校生らの日常を描いている。2007年4月にアニメ化され、テレビ放映されるなどして人気が高まった。アニメ版に登場する神社のモデルとなった、隣の鷲宮町にある鷲宮神社など、アニメゆかりの“聖地”を巡る多くのファンが幸手市にも訪れるようになったのだ。

 「権現堂堤に『らき☆すた』ファンたちが来て、写真を撮っている」

 07年秋のある日、市民からそんな話を聞いた幸手市商工会の山内正明さん(34)は、すぐに堤へ足を運んだ。そこで目にしたのは、アニメのオープニングで、主人公の女子高校生・泉こなたが堤をバックにスキップしているのと同じポーズで写真を撮っている若い男性たちの姿。尋ねると、「秋田」「新潟」など、県外者ばかりだった。

 幸手が観光客でにぎわうのは、堤の桜が満開になる春だけ。年間通じて何かできないか――。こう考えていた山内さんは、「これをいかさない手はない」と、「らき☆すた」を活用した街づくりに着手した。

 先行して取り組んでいた鷲宮町商工会にも相談しながら、同年末、登場人物をデザインした券を使い、声優や美水さんのサイン色紙を景品にした歳末大売り出しの抽選会を実施。七つの商店街などで前年比約700万円増の売り上げを果たした。

 今年3月には、美水さんが昨年まで暮らした市内の民家を活用し、主人公の部屋を再現するなどした「美水かがみギャラリー幸手」のオープンを手がけた。

中村広子さん
巳谷茂さん

 地元では、アニメ文化を街の活性化につなげようとする動きが広がっている。

 ギャラリー開設を機に、昔ながらの「栗どら焼」にクリームチーズを入れてアレンジした「聖地巡礼 栗どら焼」の販売を始めた「石太菓子店」の中村広子さん(50)は、「幸手の街がこんなに盛り上がるなんて……」と驚く。ファンが「聖地巡礼」のようにゆかりの地を回ることにちなんだこの商品は、ギャラリーの売店と店舗のみで扱うが、「お土産用に」と買っていくファンが後を絶たない。

 店主で夫の和彦さん(52)とともに、当初は半信半疑で取り組んだが、反響は予想以上だった。その後、原作の漫画も読んで理解を深める一方、「常連さんが飽きないように」とバター味どら焼きも考案。今では、ギャラリーがオープンする週末は、来店客の3分の1をファンが占める。

 「ファンの方に支持される商品を作りたい。挑戦することで、商売の幅も広がる」と中村さんは笑う。

 通りを歩くファンを横目に、「寂しかった商店街に、少しずつ活気が戻ってきた」と喜ぶのは、アニメに登場する特製のコロネを販売するパン店「プルミエール」の巳谷(みたに)茂さん(55)。

 街路灯へのキャラクタープレート設置、ウオークラリー開催、登場人物をデザインした携帯ストラップの販売――と、市商工会とともに活性化策に取り組んできた巳谷さんは、「地域一丸で、活気を定着させたい」と願いを語る。

 商店街関係者らの思いを代弁するかのように、山内さんはこう話す。

 「ファンが来なくなったから試みをやめる、というようなことはしたくない。『らき☆すた』で街おこしを始めた以上、あの手この手で多くの人たちを呼び込んでいきたい」

2009年11月24日  読売新聞)
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