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《3》 中学内申書 揺らぐ信頼性(2007年10月28日)

 内申点★は5教科で計20以上、7〜12月実施の「北辰テスト」(北辰図書主催)で2回分の平均偏差値66以上――。


写真:写真説明
県内各地で開かれる高校の進学説明会。私立高だけではなく、公立高も保護者や生徒らへのPRに躍起だ
 ここ数年、大学進学実績を伸ばしている県内の私立高が、他校と併願で受験を希望する生徒に示す合格を約束する「確約」の基準だ。個別相談会などで、私立高側は、基準を満たした生徒や保護者には「このまま勉強していれば大丈夫ですよ」と伝え、基準以下なら「入試当日に6割取れれば大丈夫です」と説明する。自然、生徒たちの多くは「確約」を得るため、北辰テストを受験する。私立高の入試担当者は「内申点は提出物をきちんと出すなど、自己管理能力の有無をみる資料。それだけで実力が分かるわけではない」と説明する。

 狭山市内の公立中学に通っていた男子生徒の保護者は2年前、都内私立高の個別面談で「埼玉の中学の内申書は、信用できない」と言われ、北辰テストの結果を提出するよう求められた。当時、生徒を担任した男性教諭は「都内の私立高は、埼玉の内申を一段低く見ているようだ」と嘆く。

 内申点の信頼性を揺るがせたきっかけは、2002年度の新学習指導要領で導入された絶対評価。それまでの相対評価は、5段階の5と1は全体の7%、4と2は24%――と配分が決まっていた。しかし、目標到達度や意欲、努力などを評価する絶対評価は、理論上、全員が5になりえる。

 県教育局は毎年、市町村教委からの報告をみて、突出した偏りがある学校を指導するよう求めてはいる。だが、具体的な分布状況は非公開。信頼性を高めるために評定分布をホームページで公表している東京都などと比べると「基準が分からなければ信用できない」というのが高校側の本音のようだ。実際、県内有数の進学校である公立高の校長ですら「内申の学校間格差がある」と認めている。

    ◎

 生徒や保護者が頼りにする進学塾の進路指導はどう行われるのか。

 県内大手の進学塾「埼英スクール」は9月17日、さいたま市大宮区の大宮ソニックシティで高校入試相談会を開催した。県内や東京都などの私立高計65校と公立高34校が参加し、塾生と保護者など約3500人が集まった。各ブースで高校の担当教諭は、パンフレットを手に、自校の教育理念やクラブ活動、大学進学実績などを熱心にPRする。

 同スクール役員の渡辺明夫さんは、相談会を始めたのは7、8年前だと記憶している。「中学が偏差値を追放し、入試情報が塾に回ってきた」とも。優秀な生徒を集め経営の安定化を図る私立高は、自校を受験してもらおうと熱心だ。渡辺さんは「案内状を出さない私立高からも問い合わせがくる。最近は公立高、それも進学校からも『参加したい』と連絡が入る」と明かす。実際、会場には浦和高や大宮高など県内トップ校の関係者が姿を見せた。

 別の市内に本部を持つ大手進学塾は、私立高の確約を出す基準などを探るため、高校の説明会に足を運んだり、電話したり……。1人でも多くの確約を得られる努力を続けている。

 さいたま市内の私立高の幹部は「(業者テスト廃止などで)県は私立高と中学のパイプを遮断した。公的テストも範囲が狭く、すぐには使えないのではないか」と苦言を呈している。

  ★内申点 高校入試の判断材料として中学から高校に提出される調査書(内申書)に記される各教科の評定。学校での学習状況を数値で示す。9教科の成績を1〜5の5段階で表す。評価の方法が相対評価から絶対評価に変更された当初は評価基準をめぐって学校現場が混乱した。

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