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堤防の高さ 国が歩み寄りの姿勢<5>

夕日に映える大橋川と松江大橋。改修事業で景観はどう変わるか

 「堤防の高さを、暫定的に計画高水位でとどめることも可能だ」

 国土交通省出雲河川事務所が「大橋川改修技術検討懇談会」の設置を発表した3月31日。同河川事務所の土江清司・流域・水防調整官(53)は読売新聞の取材に、これまで海面からの標高3・5メートルまで築くとしていた堤防を場所によっては同2・5メートルまで下げる可能性を示した。

 堤防が景観を損ねるとの住民の反発に配慮したもので、「暫定的」のただし書き付きながら、例えば、新大橋北岸で1・4メートルと見込まれる堤防が0・4メートルになる可能性もある。

 同懇談会では、事業の優先順位などを専門家が検討する。土江調整官は「上流はじっくり議論し、下流から進めることもできる」とし、「これで何とか話し合いを」と期待する。

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 1979年に打ち出された改修事業には、大橋川上流部の住民が激しく反発してきた。南岸では拡幅で立ち退きが生じ、北岸の住民は景観や観光、地域経済に打撃を与えると懸念する。

 「松江大橋をつけ替えることが前提になっているじゃないか。これでは意見交換会ではなく『説得する会』だ。意見を言いようがないので退席する」

 昨年8月、国が設けた大橋川周辺まちづくり検討委員会の作業部会などが松江市で開催した市民意見交換会。出席した住民代表の1人は、大橋川拡幅と松江大橋のつけ替えを前提として出席者に意見を聞く配布資料に憤り、こう宣言して席を立った。国と住民の対立を象徴するシーンだった。

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 住民側は治水3点セットのうち、尾原・志津見両ダムと放水路の建設で十分と主張。国が計画の想定で、斐伊川のピーク流量を1972年水害(毎秒2400トン)の2倍以上の毎秒5100トンとしていることも、「国は不要な事業を進めようとしている」と疑念を持たれる要因となった。

 「子どもの時は浸水したら、田んぼにフナを捕りに行ったほど。3点セットのどこに合理性があるのか」。北岸の末次本町でゴルフ店を営む松江京店商店街協同組合の泉彬理事長(85)は語る。

 「国は30年前の計画を進めようとしているだけ。急ぐ必要はない。立ち止まり慎重に考え直せばいい」

 これに対して、同河川事務所は「放水路とダムで安全性は高まるが、それでは不十分」と反論。「72年水害で被害が大きかった宍道湖西岸に堤防ができ、その分水位が上昇する」として改修の必要性を強調する。

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 堤防の高さと優先順位の検討は、ようやく国が示した歩み寄りの姿勢だ。国が投じたこのボールを住民側はどう打ち返すのか。

 北岸の住民でつくる城東地区町内会自治会連合会の中林富夫会長(72)は「ごり押しでは進まないとようやく気付いたのではないか。ただ、国の真意は確かめないと……」と困惑する。国が真剣に住民の声を聞く姿勢を見せない限り、流れのゆくえは見えてこない。

 大橋川改修事業について、連載終了後に紙上討論会をしたいと思います。皆さんのご意見を郵送かファクス(0852・23・1413)、メール(matsue@yomiuri.com)で松江支局へお寄せ下さい。

2008年4月4日  読売新聞)
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