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給水塔 贈った後に…日大国際関係学部金谷尚知ゼミ2008年9月。カンボジア北部の山あいにあるコスロック小学校の校舎脇に、高さ約7メートルの給水塔が完成した。 地下5メートルからポンプでくみ上げ、濾過(ろか)されたのは、341人の児童が待ち望んだ“安全な水”だ。 それまでは近くの古井戸の茶色く濁った水を飲み、下痢をする子供が絶えなかった。今ははだしの子供たちが給水塔の蛇口に口を近づけたり、コップを使い回したりしてのどの渇きを潤している。 「支援が実を結んだんだ」。子供たちを眺めながら、立石誠矢さん(21)(三島市萩)らは達成感に浸った。 立石さんらは、日本大国際関係学部(同市)の金谷尚知教授(52)(国際協力論)のゼミ生。立石さんは3年ゼミ長だ。金谷ゼミでは03年から、カンボジアへの支援を通じて国際協力のあり方を探っている。給水塔は、06、07年に別の小学校で建設したのに続き、今回が3基目だ。 費用の捻出(ねんしゅつ)は、主に4年生の役割。地元企業と駅弁やまんじゅうを開発、販売した売上金を充ててきた。3号基は洋菓子の売上金など約17万円で完成した。 今回のカンボジア研修では、1号基がある小学校にも約8000円を贈った。07年の研修の際、校長から「ポンプの燃料代が工面できない」と聞いたからだ。児童が授業で作ったかごなどの竹細工約20個を日本に持ち帰り、学園祭で売ってつくった。初の試みだった。「まさか、子供が作ったかごが売れるなんて」。半年分の燃料代を受け取った校長はあぜんとしていた。 立石さんは2、3号基についても「いずれ燃料代に困るのでは」と思い、1号基の学校での話をそれぞれの校長に伝えて、竹細工作りを提案した。しかし、校長らは「子供が作った竹細工が売れるのか」といぶかしがるばかり。「竹細工でなくてもいいんです。給水塔を動かし続ける方法を自分たちでも考えてほしい」。立石さんは食い下がったが、どうする気なのか、校長たちの態度ははっきりしなかった。「腰が重いな」。はがゆさが残った。 帰国後、ゼミの中では、「ポンプが止まったら造った意味がない。やっぱり竹細工を売って燃料費をつくろう」との意見とともに、「竹細工の売上金をあげ続けても、現地の人の自立にはつながらない」という声もあった。これまでも教室で「支援も、し過ぎると自立につながらない」と学んできたが、それを“実地”で体験した。どの程度の支援が望ましいのか――。議論は続いた。 「それは永遠の課題かもしれない。ただ、自分たちの支援がその後どうなったのか、検証することは必要。そうでないと、『これは必要な支援』『こんな支援は要らない』と線引きなんかできない」。立石さんは今、そう言い切る。 今後、金谷教授の現地の知人を通じて、給水塔の管理や燃料費の確保の状況を把握し、自分たちの支援について検証する。運営面で助言もする。みんなで話し合って決めたことだ。 「単にものを贈るだけでなく、みんなで知恵を出し合い、現地の人の目線で考えようとする姿に成長の跡を感じる」。金谷教授は学生たちを見守っている。 (2009年1月4日 読売新聞)
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