ワールドカップ 2002 問われる警備(中)

“見せない”気配り徹底 「市民の不安をあおってはいけない!」
袋井市の静岡スタジアム「エコパ」近くの駐車場に入ってきた大型警備車両を見て、県警幹部は即座に移動を命じた。
約五万人の観客が詰めかけた昨年八月十五日のサッカー日豪戦。県警は、エコパ周辺などで、ワールドカップ(W杯)の本番さながらの警備を行った。機動隊や爆発物処理班なども動員したが、警備車両の停車位置や警官隊の待機場所などに細かく気を配り、“見せない警備”に徹していた。
県警の杉山悦男・大規模警備対策課次長は語る。「W杯はあくまでスポーツイベント。一握りの暴漢への対策で、ファンに不快な思いをさせたくない」
とはいえ、エコパでは、ドイツやベルギーの試合が組まれ、暴徒化する恐れのあるフーリガンがやって来る可能性が高い。「最悪の事態」にも万全の備えが必要だ。
県警は、フーリガンが、身動きの取りにくいスタンドで暴れ出す事態なども想定。ジュラルミン製の盾をポリエステル製に代えて軽量化を図ることや、一人で背負える暴動鎮圧用の高圧放水機の導入などを検討している。また、ドイツ、ベルギーの両国にはフーリガンを識別する「スポッター」(面割り捜査官)の派遣も要請した。
一方、エコパ内では試合当日、日本組織委員会(JAWOC)が、民間警備会社やボランティアを動員して自主警備を行う。警備にボランティアを参加させることを不安視する向きもあるが、JAWOC静岡支部の井出友作・警備課長は「県内にはJリーグチームが二つあり、ボランティアで観客の誘導や警備にあたった経験がある人も多い」と話す。
観客のスムーズな移動や危険物の持ち込み阻止のため、JAWOCは、JR愛野駅からエコパまでの約八百メートルの間に複数のゲートを設置する予定だ。「チケット確認」↓「荷物検査」↓「チケットのもぎり」と、作業を分散させることで混雑を防止し、より細かなチェックにあたる考え。現在、当日の作業手順の詰めを行っている。
試合当日は、エコパのスタンド上部に司令室を設置。防犯カメラで観客の動向に目を光らせ、県警と情報交換をしながらトラブル発生の阻止に努める。
それでも、世界中から観客が集まるイベントだけに、言葉や習慣の違いによるもめごとはつきもの。地震などの災害やテロも警戒しなければならない。
「当日は、何かが起きる」。エコパ内外の警備を受け持つ両組織の認識は一致しており、訓練の反復と、有効な警備方法の検討作業が続いている。
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