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「木の日本文化」守る(2004/09/20)

木の建築家養成を 目指す三島の建築家 太田 新之介さん 58

 「三百年生き続ける木の建築は日本の気候風土の中で育ってきた。それが忘れられている」

 江戸時代以前に建てられた五重塔は地震で倒れたことがないといわれているという。三十年もたつと老朽化するコンクリートの建築物に対し、“木の文化”の大切さを提唱している。


写真:写真説明
 縄文時代から続く木の文化だが、明治時代以後、コンクリートによる近代建築隆盛の中で「木の建築」のデザインを手がけることの出来る人が激減した。復元や修復のできる技術者はいるが「昔のものを再現するだけ。それではいけない」という。法隆寺や薬師寺は現在でも「古くならないデザイン」を保っている。

 コンクリート建築によって、数十年後の廃棄物を次々に生み出すのではなく、将来に伝統をつなぐ「木の建築家」養成の必要性を強調する。「じっくり物事を考え、三百年に対応するエネルギーを持つ人を育てないと」

 子供のころから木に親しんできた。風呂のまき割りを通じて、どの木が燃えやすいか、どの木の香りがいいかを知った。「そういうのが原点かもしれない」という。

 木の建築家養成への思いを「Sの計画―木の建築ルネッサンス」という著書にまとめた。実際に木造建設を行いながらデザインなどを学ぶための「木の建築学校」実現への準備も進めているという。「Sの計画」のSは自らの名「新之介」のイニシャルでもあり、「スペース」「スクール」などの頭文字でもある。

 百年かけて五層の建築物を建て、その後、保存と再生を繰り返しながら三百年にわたって活動を続けるという壮大な計画だ。この試みの中心にあるのは、建物を造ること自体が学校だという考え。場所は富士山周辺。早ければ来年にもスタートさせる。

 建築基準法上、現在は木造では二階建てまでしか建てられないため、十年間で二層を建築するのが当面の計画だが、次世代には、その上にもっと高いものを積み重ねてもらうという。

 「木の建築はパソコンじゃ学べない。一緒に作りながら、汗を流しながら学ぶもの」。未来に思いをはせている。

     (白石 久美)

プロフィル 一九四五年、熱海市生まれ。一九七四年から太田新之介建築事務所主宰。全国植樹祭のメーン会場となった「天城の森・お野立所」、伊豆長岡町のホテル「寿荘」、岐阜市の「瑞龍寺僧堂」など、社寺建築や茶室、照明デザインの分野で活躍している。

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