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(4)高齢者ケア在宅医療移行 受け皿不足厳しい寒さが続いた1月上旬。「ひばりクリニック」(宇都宮市新里町)の高橋昭彦院長(48)は、訪問看護師から連絡を受けて宇都宮市の男性(72)の往診に訪れた。男性の血圧はもう計れない状態だった。次第に呼吸の間も長くなっていく。 「ご家族をお呼びしたほうがいいですね」 その言葉で、付き添っていた男性の娘はすべてを理解したようだった。2時間後、男性は娘2人に看取(みと)られて息を引き取った。 男性は昨年10月末、検査入院した病院で末期がんと診断された。余命3か月。 「最期はどこで過ごしたいですか」。高橋院長は患者と初めて会う際、必ずこう尋ねることにしている。男性は家で暮らすことを望んだ。「本人の望む通りにしてあげてよかった」。穏やかな最期の顔を見て、男性の妻はそう語った。 高橋院長は2002年にクリニックを開業。在宅療養支援診療所として、週4日の午前を外来、それ以外を在宅診療に充てている。常に40人近い患者を抱え、休日も緊急の連絡が入れば往診に向かう。枕元には携帯電話を置き、死亡診断書を常に持ち歩く。これまでに約60人を看取った。 病院から在宅へ――。超高齢化社会の到来を控え、国は急速に流れを推し進める。厚生労働省は、高齢者が長期入院する「療養病床」を大幅に削減する方針を打ち出し、県も11年度末までに、4724床(07年4月現在)ある療養病床を43%削減させる計画を掲げた。 だが、在宅医療を支える施設は不足しているのが現状だ。高橋院長は、担当する患者の中に「近くの支援診療所に夜間は往診できないと断られた」という人もいて、約20キロ離れた地域にも往診に出向く。県内の支援診療所は、宇都宮市など一部の市に偏在している上、夜間の往診などの対応が十分とはいえない施設も見られる。 在宅医療は、医師1人ですべてを担うことは難しく、地域で介護を担う人や看護師の連携も欠かせない。特に、24時間態勢でケアを行う「訪問看護ステーション」は、支援診療所とともに在宅患者を支える両輪だ。だが、ステーションがない市町は10、1か所のみも10市町に上り、県内全域をカバーできる状況にない。 読売新聞は「在宅療養の支援強化」を提言に挙げた。現状の在宅医療は、地域の医師や看護師らの努力と情熱で支えられている。「病院から在宅」への流れを机上の空論に終わらせないために、早急に態勢を整備する必要がある。 ◇在宅療養支援診療所 在宅医療の拠点として、2006年度に制度化された。24時間365日、往診や訪問看護ができる体制であることなどが認定の条件。往診料などを一般の診療所より高く請求できる。08年7月現在、県内の届け出数は24市町に計127施設。 (2009年2月10日 読売新聞)
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