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足利工業大学長 牛山泉さん

風力発電で途上国支援

「これからも世界を飛び回りたい」と話す牛山さん(足利市の足利工業大で)

 中央アジア・モンゴルの首都ウランバートルから西に約600キロ、山岳地帯にある人口6000人ほどのタリアト郡。その診療所に電力を供給しているのが1999年、国際協力事業団(JICA、現・国際協力機構)のプロジェクトで設置された風力と太陽光の複合発電装置だ。敷地内に立つ高さ約10メートルの風車。足利工業大学学長の牛山泉さん(67)が、現地の気候データを渡され、羽根の形状などを提案した。

 牛山さんはあの日のことが忘れられない。発電装置の設置から約1か月後、使い方を指導するため、初めて現地を訪ねた。診療所では、所長や看護師ら約40人がそろって出迎えた。「夜の出産はランプやろうそくの光が頼りでした。これからは照明の下で安心して出産することが出来る」。所長は牛山さんに握手を求め、集まった人の中には感激のあまりに涙を浮かべる姿もあった。

 診療所には以前、ディーゼル式の発電機があったが、燃料不足の上、故障がちで使えないことが多かった。感謝の言葉に、牛山さんは「私も2人の子どもがいるので、皆さんの気持ちはよくわかる。役に立ててよかった」と胸を熱くした。

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 日本の風力エネルギー研究の草分け的存在。元々はガスタービンを研究していたが、1973年のオイルショック(石油危機)による原油高騰を機に、「石油燃料に代わるエネルギーを確保しなければ」と、当時アメリカが先端だった風力発電の研究を始め、日本風力エネルギー協会(東京都)の設立にも携わった。

 1980年頃からJICAに「途上国の非電化地域で風力発電を利用したい」と依頼され、現地の気候に合った風車の選定をしたり、現地を訪ねて発電装置の操作の指導をしたりしている。これまで参加したプロジェクトはインドネシアやネパール、中国などアジアを中心に約30か国に上る。

 約2億人が非電化地域に住むというインドでは、マラリアのワクチンを保管する医療用の冷蔵庫を動かすために風力発電装置を導入したいという要望を受けた。「国や地域によって風力発電のニーズが異なり、現地の事情について学ぶことも多い」

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 4年前からはアメリカ在住の芸術家ヒロ・ヤマガタさんとともに、アフガニスタンで発電プロジェクトを進めている。バーミヤンの仏教遺跡付近に19基の風車を設置して発電し、タリバンに爆破された巨大石仏をレーザー光線で再現するとともに、約2万世帯の民家に電力を供給するという壮大な計画だ。現在は治安の悪化などで休止しているが、何とか再開させたいと願う。

 「風車が回った時、現地の人々が見せてくれる笑顔が何よりの私の原動力」という牛山さん。「日本も戦後復興で海外から助けられた。『助けることは助けられること』の気持ちでこれからも飛び回りたい」と力を込めた。(谷合俊史)

(おわり)

2010年1月19日  読売新聞)
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