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不況 日本明るくしたい「上司に『ラーメンおごってやろうか』と言われたら、『特盛りでお願いします』と答えてみてください」 講師の川口有さん(28)(三鷹市在住)が語りかけると、8人の参加者は不思議そうな表情を浮かべる。「ずうずうしいと思われても、相手の懐に飛び込むことによって笑いが生まれ、その場を共有できる」と続けた。昨年12月14日、武蔵野市で開かれたセミナーの一コマだ。 経営者や管理職を対象に、笑いが職場や健康にどんな効果を持つかを認識してもらうことが目的。昨年9月に続いて2回目で、職場を盛り上げる話術や、上司や部下と仲良くなる方法を具体例を交えながら紹介した。 参加した府中市のマネジメント会社社長、尾野貴志さん(43)は「組織の活性化に笑いが欠かせないことを実感した。学んだことを会社で生かしたい」と話していた。 川口さんの本職は、大手IT(情報技術)企業のシステムエンジニア。笑いを生かしたムードづくりに取り組むきっかけは、2004年の入社時にさかのぼる。入社初日、社内の廊下で先輩社員たちにあいさつしたところ、ほとんど返事がなく、職場に会話がないことにもショックを受けた。 笑いが絶えない3世代6人の家庭で育ち、大学のバスケットボール部でもムードメーカーだった川口さん。「落ち込んだ時も人の笑顔に救われてきた。暗い雰囲気を絶対に変えてやろうと思った」 最初に始めたのは大声でのあいさつ。毎朝、会社に着くなり、約100人が働くフロア中に響く声で、「おはようございます」と叫んだ。朝会でも、気になったニュースや会社帰りに見たことなど、仕事に関係ないトピックについて話した。親しみやすい雰囲気を作るため、あだ名作りも進め、常に笑顔を忘れないよう心がけた。 1か月が過ぎたころ、社内の雰囲気の変化を感じた。あいさつに応じる人が増え、何気ない会話から同僚に笑いが生まれるようになった。「笑いが職場の人間関係の距離を縮めた。仕事面の意思疎通もスムーズになった」と手応えを感じ、笑いの奥深さに興味を持ち始めた。 本や講習会などを通して、笑いの専門的な勉強を始めると、健康や人間関係に笑いが良い効果をもたらすという研究が進んでいることがわかってきた。暗いニュースが続く中、「笑いこそが日本の職場を救う」との思いが強まった。将来、笑いを武器に職場のムードづくりを進めるコンサルティング会社を起業しようと思っている。笑いの伝道師を増やすことを狙う。 「不景気の中で起業するのには不安もある。でも、自分が世の中を明るくする起爆剤になりたい」という川口さん。笑いが、世の中の最良の薬になると信じている。(おわり) ◇ この企画は工藤淳、前村尚が担当しました。 (2009年1月8日 読売新聞)
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