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人と自然結ぶ里山保全ピーヒャラ、ピーヒャラ。ペッタン、ペッタン。かやぶき屋根の民家や田んぼ、雑木林などが広がる中、笛や餅をつく音が心地よく響いている。 都立野山北・六道山公園(武蔵村山市)で、昨年12月6日に開かれた「収穫祭」。300人超の来場者が餅をほおばり、囲炉裏端でコマやお手玉に興じる。その中に、黄色い腕章を付けた男女が、かまどで米を炊いたり、餅にきな粉をつけて配ったりと生き生きと働いていた。小学生もいる。 「ボランティアの皆さんです。今日は60人も参加してくれたんです」と、佐藤さんが顔をほころばせる。 佐藤さんが事務局長を務める「バース」(西東京市)は2006年から、企業やほかのNPOなど4団体と合同で同公園の指定管理者になり、公園ボランティアのコーディネート役などを担っている。 ボランティアの活動は雑木林の管理、田植え、自然調査など。やりがいを持てるよう成果を評価し合ったり、学校や企業と連携したイベントを開いたりした結果、年間登録者数は06年度の68人から09年度には3・6倍の247人に増えた。年間数百回の活動成果を受け、同公園は昨年10月の「都市公園コンクール」で国土交通大臣賞を受賞した。 ◎ 高校生まで、仙台市に暮らした。幼い頃から昆虫が大好きだった。一方、思春期は人間に対する絶望感を抱いていた。米ソ冷戦のニュースを耳にするたびに、「人間は戦争をして自然を破壊する愚かな存在」とあきれ、自分は何をすべきか悩んでいた。 環境問題に携わりたいと、東京農工大学農学部に入学して府中市に移り住んだ時、街中に雑木林や畑があることに驚いた。それが、里山という自然と共存する人間の知恵によるものと知ったことで絶望感はなくなっていったが、その里山がどんどん消えていくことに危機感を抱いていた。 佐藤さん以外のバース創設メンバー3人は、いずれも多摩地域出身。幼い頃に見た武蔵野の原風景が失われていくことに、やはり心を痛めていた。 佐藤さんは卒業後、自然調査などに携わる民間会社に勤める傍ら、ボランティアとして自然保護団体に加わり、3人と知り合った。世界的に自然保護の流れが高まる中、団体の事務局を担っていた佐藤さんらはボランティアを管理する業務が膨大になることを肌身で感じ、新しい組織の必要性を痛感していた。 その思いは、バースを結成した翌年の夏、佐藤さんが米・サンフランシスコのNPO団体の研修に参加した時、一層強くなった。 ボランティアの延長線上にある日本と違い、米国のNPOはプロの専門職員として、公共の仕事を担っていた。夜間や土日をつぶしながら活動する自分たちも、いつか環境のプロとして生きていきたい。そして、米国のNPOのようにボランティアたちをコーディネートする役割が必要だと痛感した。 その後は、日本野鳥の会などと共同事業を行ったり、環境省や地方自治体から自然調査の委託事業を請け負ったりしながら、ノウハウや実績を積み重ねた。 2000年になって、佐藤さんが初めてバースの専従職員になったが、事務所を自宅に置くなどして経費を切りつめた。「いつか自分たちが必要とされる時代が来る」と信じて活動を続けていたところ、2005年に公園の指定管理者の公募を目にした。 都が募集にあたり、力点を置いていたのは都民協働の公園作りという、まさに自分たちが追究してきた形だった。指定管理者になった2006年に専従職員を6人にし、現在はパート職員らも合わせて約20人に増えた。 ◎ 「里山の保全を通じて、人と自然、人と人とのつながりをよみがえらせることが私たちの使命」。昨年暮れの収穫祭で、そう語る佐藤さんは、生き生きと働くボランティア、里山の自然の中で笑顔を見せる参加者が交流する姿に目を細めていた。(おわり) ◇ この連載は清川仁、井上妃、バッティー・アイシャが担当しました。 ■佐藤さんの歩み 1967年 仙台市生まれ 87年4月 東京農工大に入学 97年12月 「バース」設立 98年8月 米国・カリフォルニアのNPO団体にインターン参加 2000年 バースの専従職員に 01年 バースがNPO法人格を取得 05年9月 バースが愛知万博に身近な緑の大切さを訴えるパビリオンを出す 06年4月 バースなど5団体の共同事業体が、野山北・六道山公園など4公園の指定管理者に選ばれる (2010年1月9日 読売新聞)
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