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(上)振興、区部と格差負担増、市町村に焦り
その言葉通り、同地区の都市計画道路の完成率は二〇〇二年度末に50%(区部57%)、面積に占める道路の面積も5・7%(区部15・7%)と区部との差は大きい。特に南北を貫く道路の整備が依然遅れている。 道路のほかにも、同年の一般病院の一病床あたりの人口は百二十六人(区部百十一人)、一人当たりの都立社会教育施設は区部の約七割など、社会基盤の立ち遅れは残っている。 多摩振興について、石原知事は一昨年、「多摩アクションプログラム」を策定しているが、事業ごとのタイムスケジュールが示されていないなど具体的とはいえず、市長会長の石川良一・稲城市長は「一部を除いて多摩振興の現状を記載しただけ。市町村が計画を作るためにも実施計画の早急な作成を」と求める。実施計画がないのは二十三区も同じだが、知事が臨海部の再開発など「都心再生」を目指しているのは明らか。それだけに、「知事は多摩を切り捨てたのでは、という気すらしてくる」(多摩東部の市長)という焦りを生む。 ◇ こうした格差が埋まらないまま、都は財政再建のために補助事業や都運営の広域行政を見直している。 今月には、都の補助事業のうち、心身障害者(児)の通所訓練事業補助が三分の二から二分の一へ減額、定期予防接種事業補助が廃止などの案を市長会に打診。都は来年度から実施したい意向で、実現すると、多摩地区の市町村は15億円以上の負担増になる。 また、都は来年度から、多摩地区にある十五の高齢者授産施設を民間に委託するが、これは都が運営を市に移管しようとした際、市が負担増を嫌ったためだ。ある市長は「こうした見直しは財政規模の小さい多摩地区の自治体には負担が大きい。住民サービスを低下させるわけにはいかないが、見直しが続けば引き受けられない事業が出る可能性もある」と話す。 ◇ 市長たちが危惧(きぐ)するのは、財政規模の大きい区部との行政サービス格差の拡大だ。 すでに一人当たりの福祉費の多摩地区平均が老人10万7000円(区部12万6000円)、児童が27万6000円(同34万4000円)などとなっている。 また、都自治調査会によると、昨年度の財政力指数は多摩地区平均が1・02なのに対し、二十三区平均が1・42。区部では財政調整制度があり、税収があまり良くない区も高税収の港区、渋谷区などの恩恵を受け、補てんされる。ある自治体関係者は「財政力の差が二割以内ならまだ勝負になるが、これだけ離れていると話にならない」と漏らす。 その一方、区部では、北区が全小中生の入院費を無料、杉並区が自前の教員を採用する方針を掲げるなど、市町村では難しい新しい行政サービスを打ち出している。「『なぜ、うちの市もやらないのか』と市民に言われることがある。会社も人もどんどん便利な区部に行ってしまい、多摩は年寄りしかいない町になるのでは」。ある市長は嘆く。
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