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「和」の趣向産業に活路<2>デザインの力砂丘の風紋をかたどった曲線が表面に浮き出た高さ166センチ、幅77センチの和紙の衝立(ついたて)。内部の照明が柔らかい光を放つ。「WA・SAKYU」と名付けられ、2008年末、鳥取市から米国とフランスに向けて送り出された。 最先端の流行を生み出すニューヨーク、さらに漫画やアニメを通じて日本への関心が高まるパリで今月、展示会に出品し、衝立や屏風(びょうぶ)などの「仕切り」で空間に変化をつける日本の知恵をアピールする。狙いはもちろん販路の開拓。デザインの力で伝統素材の将来を切り開こうという挑戦だ。 この「仕切り」は、県東部の素材メーカーや金属加工などの計5社による共同プロジェクト「INABAブランド」で開発された。 中心になったのが、谷口和紙社長の谷口博文さん(60)。書道用紙が主力の因州和紙の世界で、球体などの立体形状を自在に漉(す)く技法を編みだし、柔らかなフォルムのランプシェードなど独創的な製品を発表してきた。「現代の消費者に新しい用途を提案し、因幡の産業に活路を」。そんな思いから、プロジェクトは07年に始まった。 目指すは「和」の風合いで世界に打って出ること。複数枚の和紙や布地を重ねて伸縮させられるのれんなど6種類が考案された。 ■ □ 杉板を使った衝立「SUKASHI」も、その一つ。板にレーザー加工で透かし彫りを施し、木のぬくもりと採光性のあるモダンなデザインを両立させた。 製造する智頭町の「サカモト」は、智頭杉の建材を加工・販売してきた老舗。品質には自信があるが、近年の木材価格の低迷と住宅不況は「杉の町」に暗い影を落とす。 社長の坂本トヨ子さん(55)は「建材だけでは、会社も産地も生き残れない。木目が細かく美しい智頭杉の良さを、新しい分野に売り込みたい」。 ■ □ 「『いいものは必ず売れる』と技術者は考えがちだが、実際に売るためには、消費者の心をとらえる仕掛けが必要。注目すべきチャレンジだと思う」。谷口さんたちにエールを送るのは、県デザイナー協会会長の植木誠さん(50)(鳥取市)。自身、鳥取と東京に事務所を構え、地場産業の全国展開をサポートする先駆者の役割を果たしてきた。 1990年代、センサーメーカー「日本セラミック」(鳥取市)が初めて一般消費者向けに作った2種類の人検知センサーライト。植木さんは企画からかかわり、センサー技術を家庭の廊下などでスイッチ不要の補助光に活用したかわいらしい商品に仕立てた。グッドデザイン賞を受賞し、同社は「認知度アップにつながった」と振り返る。 「技術や素材を、ほかに類似品のない商品に仕立てる力。それがデザイン。その重要性に気づいてほしい」。そう訴える植木さんも10月、パリで「因幡の白ウサギ」などをモチーフにしたTシャツの個展を開く予定。「和」の趣向を世界に売り込む第一歩だ。 谷口さんも「和紙を透過した『和の光の柔らかさ』で、ニューヨークやパリの人の感性に訴えたい」と意気込む。鳥取発のデザインが、海を超える。 (高山千香) (2009年1月3日 読売新聞)
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