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環日本海の物流拠点に<6>

境港から日韓露航路

「新航路で大陸に販路拡大を」と期待を込める岡空社長(境港市の境港で)

 境水道に面した境港市昭和町の北岸壁。平屋1134平方メートルの国際旅客ターミナルの建設が急ピッチで進む。韓国・東海(トンヘ)、ロシア・ウラジオストクを結ぶ定期貨客船の就航に向けた準備の一環だ。大陸とつながる新たなルートに、地元の期待が高まっている。

 「第1便で、韓国に純米酒を出したい」。そう意気込むのは、地元の蔵元「千代むすび酒造」の岡空晴夫社長(59)。

 すしを始めとした和食ブームを受け、米国を中心に大吟醸酒などを年間4万本以上輸出している。日本酒の国内消費が低迷する中、韓国も2007年の輸入量が前年比6割増の106万リットルに伸びた有望な市場だ。

 「船内でも免税販売し、ロシアにも売り込めれば」と岡空社長は夢を描く。

 自動車整備用の工具製造「ビックツール」(日吉津村)には、高性能な工具研磨機に韓国から引き合いが来ている。新井高一社長(67)は「運賃次第だが、地元から荷を出せる利便の良さは魅力だ」と航路に期待する。

 貨客船は、境港と東海を週2回、東海とウラジオストクを週1回往復する。午後7時に境港を出れば、翌朝9時に東海に入港でき、ソウルには高速道路で昼過ぎには着く。ロシアに目を向けても、ウラジオストクからシベリア鉄道を利用すれば、海路で40日かかる西都サンクトペテルブルクまで、半分程度に縮まる。

 欧州にもつながるルートとして、県外企業も注目。岡山県里庄町の化粧品製造「一光化学」は、看板の馬油を使った化粧品のロシアへの輸出を検討している。原田卓専務(39)は「寒冷な国で高い保湿性を売り込みたい。近くて早い境港の航路は〈渡りに船〉だ」。

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 だが、貨客船の船出は“順風満帆”ではない。運航する韓国の「DBSクルーズフェリー」が資金集めに苦しみ、昨夏就航の予定は大幅にずれ込んだ。ウォン安と世界不況で、船の調達も難航が伝えられる。肝心の運賃が明らかでないため、企業側は具体的なビジネス戦略を描けないでいる。

 当面、輸出品の中心になるとみられたのは、ロシア向けの中古車や自動車関連部品。ここにも世界不況が影を落とす。ロシア政府が国内の自動車産業を保護するため、11日から輸入車の関税を引き上げるからだ。

 鳥取市の中古車販売・部品卸売「西川商会」は、昨年5月にモンゴルに合弁会社を設立し、神戸港から中国経由で輸出している。西川正克社長(60)は「ウラジオストクからシベリア鉄道でモンゴルに運ぶルートに期待するが、ロシア国内に販路を開くのは難しくなった」と残念がる。

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 県は、国際旅客ターミナル建設に1億8000万円を投入。境港が環日本海の物流拠点になり、製造業の進出にもつながるのを期待してのことだ。来年度には、ロシアでの物産展や対岸諸国での観光PRなどにも取り組もうとしている。

 浜田港(島根県浜田市)には昨夏、隔週でウラジオストクへ向かう貨物船が就航。新潟と韓国、ロシアを結ぶフェリー航路も今年開かれる予定だ。

 ライバルに負けずに境港に人と荷を呼び込めるか。官民を挙げてのポートセールスも正念場を迎える。(桑田睦子)

おわり

2009年1月7日  読売新聞)
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