連載:海ノ向コウから――ウラジオストク (番外)盗難車流出、日ロの懸案

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巨大中古車市場にびっしりと並べられた日本製中古車。ウラジオストク市民に人気の高級RVも目立つ(ウラジオストク市内で昨年11月撮影)
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日本海を挟んで、経済的な結びつきを強める富山と極東ロシア。昨年、伏木富山港に入港したロシア船は延べ六百隻にも達した。中でも中古車ビジネスは盛況で、富山は国内有数の中古車積み出し拠点となっている。だが、盗難車がひそかに持ち出されるなどの問題も指摘されている。ウラジオストクの中古車事情をリポートする。(平松 洋志)
市内を走る車の九割は日本車と言われるウラジオストク市。その多くは、市中心部から約六キロ東の高台にある“青空中古車市場”で売買されている。広大な敷地に、数千台の中古車が所狭しと並ぶ様子は壮観。市民に人気がある、トヨタ「ランドクルーザー」や三菱「パジェロ」といった高級RV(レジャー用多目的車)も目立つ。
「オタル」「フシキ」「シンコウ」――。車のフロントガラスには、積み出された港の名がローマ字で記されている。一台一台、見ていくうちに、カギ穴が不自然にさび付いた車を見つけた。そばにいた中古車業者の男性に価格を尋ねると、「日本人だな。商売上の秘密は言えない」。激しいけんまくで追い返された。
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この車が盗難車とは即断できないが、国内で盗まれた高級RVなどが、しばしばロシアに持ち出されているのは周知の事実。在ウラジオストク総領事館は、「日ロ間で解決すべき最大の問題の一つ」と話す。
同領事館は、明らかに盗難車と見られる乗用車の陸揚げを阻止するため、これまでに二回、ロシアの荷受業者を相手取り、現地で法廷闘争に挑んだ。だが、真の所有者を証明する書類を公判期日までにそろえることができず、いずれも敗訴した。
同総領事館の飯島泰雅首席領事は「盗難車の密輸は犯罪組織にのみ利益をもたらし、ロシア経済の健全な発展を妨げる。日本の警察や税関、被害者には、断固とした態度で盗難車流出阻止に協力してほしい」と訴える。
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日本に中古車を買い付けに来るロシア人業者の多くが、入管難民法の乗員上陸許可規定を利用し、「船員」として上陸していることも問題となっている。
この規定は本来、外国人船員に対し、休養や買い物などのための一時上陸を認めるもので、船員手帳の提示や船会社との雇用契約の証明などがあれば、パスポートやビザがなくても上陸できる。
ところが、名古屋入国管理局によると、昨年一月から七月、伏木富山港に寄港した客船や貨物船から入国した外国人約一万八千七百人のうち、観光ビザなどで入国した者は約千二百人に過ぎず、九割以上は「船員」の身分での上陸だった。
同局富山出張所のある職員は「ロシアからの客船はどれも、『乗客』はほんのわずか。形だけの『船員』が圧倒的に多い」と打ち明けるが、「船員手帳などを見せられて『船員だ』と主張されれば、上陸許可を出さざるを得ない」と困惑する。同出張所は、船ごとに上陸許可を与える人数を内規で制限するなどの対策を講じているものの、無断上陸や上陸許可書の貸し借りは後を絶たないという。
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