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連載・特集
県都を築く 神通川直線化100年
(6)歴史生かした水辺空間を

写真:写真説明
富山市内を流れる松川べりで、記念イベントへの意欲を語る中村さん

 さんさんと日差しが降り注ぐ川面に遊覧船が行き交い、川沿いのカフェやレストランに人々が集う。米国テキサス州サンアントニオ市。六年前、この街を訪れた月刊誌発行人中村孝一さん(58)(富山市丸の内)は、その水辺の風情に魅了された。「富山もこのような『水の都』にしたい」。思いが募った。

 自ら発行する月刊誌で市民参加の座談会を企画した。参加者から「街の個性が足りない」との声が何度も寄せられた。明治、大正期の建物の大半が戦災で失われ、市街地で歴史が感じられないのも一因と考えた。

 「市民が求める、街の誇りを取り戻したい」。市中心部を流れる松川やいたち川を生かした街づくりを意識するようになり、十六年前、松川で遊覧船を運航する会社を設立した。

 明治時代に神通川で行われた馳越(はせこし)線工事に注目したのも、この誌上座談会がきっかけだった。街の歴史を振り返る好機と、記念イベントを思いついた。中村さんの呼びかけで、観光、商工、文化団体など、様々な分野の有志二十五人が集まり、昨年十二月に実行委員会が発足、中村さんは事務局長になった。

 イベントは、「リバーフェスタinとやま」と題し、今年九月十九日から二十三日まで市内で開く。川べりで音楽会や、川に関する文芸作品の朗読会などを開き、子供たちの描いた川の絵を展示するアイデアもある。

 目玉は、同十九日の「川と街づくり国際フォーラム」。河川整備の先進地、サンアントニオ市から、洪水対策や公園管理の実務担当者を招いて、国内の識者が意見交換する。

 街づくりには、治水対策や、水質の浄化など課題は多い。だが、中村さんは「夢を語るだけではなく、どうすれば松川を生かせるのか、具体的な方法を考える場として、成果を得たい。次の百年につながるきっかけになれば」と意気込む。

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 市民に呼応して行政も動いた。中村さんたちの実行委と国土交通省、県、市が参加し、四月、「とやまの水と都市(まち)づくり推進会議」が発足した。

 行政側も今秋、独自の記念行事を予定する。馳越線工事に関する資料などを展示し、神通川や松川べりなど、過去の治水事業ゆかりの地に、案内看板を設置する。また、県民が由来地をたどるツアーや、子供たちが治水の歴史を学ぶ教室を企画。川の周遊マップ作製も検討する。

 県企画用地課は「県政史上に残る大事業からちょうど百年の節目に治水の歴史を振り返り、水資源を活用した街づくりを考えるきっかけにしたい」と話す。

 国交省富山河川国道事務所は、さらに、将来の構想を描く。神通川流域の治水施設や、歴史、文化を伝える記念碑や遺構を調べて地図を作製。それを基に、富山市などの流域自治体に呼びかけ、流域の整備や利用について協議する場を設け、河川を生かす街づくりを検討していきたい考えだ。

 常願寺川流域では、戦国時代の堤防「佐々堤」などの史跡が一目で分かる地図作りを進め、流域を、河川に親しむフィールドミュージアムとする構想だ。

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 今月七日、富山市内で開かれた水道週間の記念シンポジウムで、松川と街づくりが話題になった。森雅志市長は、「強い関心を持つ市民から良い発想が出てくる。松川の水をきれいにして、街づくりにつなげることが効果的で、水の情景があふれる街をつくっていけると思う」と述べた。

 進行役を務めた宮口■廸(としみち)・早稲田大教授も提言する。「役所主導ではなく、行政と市民が連携しながら、市民一人ひとりが当事者として、河川空間の使い方を考えていくべき」

 本県が石川県から分かれて百二十年。県の草創期、暴れ川を治めるため、行政主導の大事業が相次いで行われた。一世紀を経た今、行政頼りではなく、市民も参加して、水辺空間を築く時代に入っている。(おわり)

 この連載は宮内利宗が担当しました。

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