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<中> 松本真佐紀投手 23

家族のため挑戦再び

写真:写真説明
開幕戦を翌日に控え、富山市内の自宅で一家だんらんを楽しむ松本(4月27日夜)
 大歓声に包まれた富山市民球場。4月29日に行われた富山サンダーバーズの地元開幕戦で、松本真佐紀(23)は、最終回に抑え投手として登板した。一塁側スタンド最上段では、妻みどり(24)が、2月に生まれたばかりの娘の七海を腕に抱え、「ほら、お父さんだよ」と、心の中で父親の登場を知らせた。2人を凡退に打ち取って残るは1人。「あと1球! あと1球!……」

 振りかぶった後、腕が背番号を隠すように背後にしなる独特のフォームから、直球が飛び出す。相手打者は引っかけ、二塁手が慎重にさばいてゲームセット。チーム唯一の「子持ちプレーヤー」は初セーブをあげた。

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 2人の出会いは、大学時代。共に岡山県の出身で、地元の大学の野球部で選手とマネジャーだった。松本が2006年に大学を卒業し、同年7月に結婚。野球を続けたい一心で、清掃のアルバイトをしながら、鳥取県の社会人チーム「鳥取キタロウズ」でプレーしていた。

 しかし、みどりの妊娠が分かり、生活の安定を考えて就職活動を始めた。小学3年から続けてきたトレーニングをやめると体調が崩れた。

 すると、就職活動にも逆に身が入らない。そんな時、試しに、北信越BCリーグの門をたたいた。

 トライアウトを受けたのは06年11〜12月。みどりの出産は間近になっていた。松本は、すぐに後悔し「もう、野球はやめる」とみどりに告げた。直後の12月末、不合格と分かり、いったんは気持ちの整理も付いたという。

 しかし、今年1月25日のドラフト会議で、合格者が1人辞退したため、リーグ関係者から同日、松本に補欠合格の打診があった。

 1週間悩んだ末、「やっぱり、BCリーグに挑戦したい」とみどりに打ち明けた。答えは早かった。「本当は、野球をやめてほしくなかった。納得いくまで続けて」

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 4月のオープン戦では、8試合中4試合に登板し、チームの投手陣ではただ一人、防御率0を記録。抑えの切り札として活躍が期待されている。

 ただ、生活は決して楽ではない。3月から住む富山市内のワンルームマンションには、娘も加わって、4月からは3人住まい。チームから支給される15万円の月給の半分近くが家賃で無くなる。やりくりで補えない分は、貯金を切り崩したり、両親からの仕送りに頼ったりしている。

 「野球をしている彼が好き」。そう言って不満な顔を見せない妻のため、夫として、父として、そして一人のプロ野球選手として、野球に懸けていこうと心に誓っている。

(敬称略)

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