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<5>提言多重債務者の現状や、救済、支援のあり方と向き合ってきた連載企画「借金考」。借入残高を制限する「総量規制」などを盛り込んだ改正貸金業法の完全施行後、消費者はどう行動し、業界や教育現場は、いかなる対応を取るべきか――。元消費者金融社員で金融ライターの笠虎崇さん(35)と、横浜国立大学教育人間科学部の西村隆男教授(58)(消費者政策)に聞いた。 ■元大手消費者金融社員のライター 笠虎崇さん 改正貸金業法は、まさに「ヤミ金促進法」と言えるのではないか。上限金利が大幅に引き下げられた2000年の出資法改正時など消費者金融の規制強化を図る度、追い詰められた業者は地下に潜って、ヤミ金融に姿を変えている。 私が勤めていた消費者金融は「過払い金請求」が急増する中、社員の半数をリストラするなど苦しい状況にある。改正法の完全施行で現在の経営状況が適法がどうか、ビクビクしながら恐れとともに業務を続けている。収益を上げるため銀行などがカードローンなど無担保の融資に進出し、競争が激化している。倒産した中小の消費者金融の行く末はヤミ金融だ。総量規制により正規業者から借り入れができなくなった債務者自身が、ヤミ金融に頼ることも否定できない。 多重債務の根本的な解決策として「対面融資」の義務付けを提案する。かつての地元に密着したいわゆる「マチ金」は人を見極めて金を貸した。金利は高めだが、返済日ごとに生活状況を確認した。貸し手にも借り手にも、身の丈に合った貸し借りだった。 現状と言えば、「無人自動契約機」「インターネット」「携帯電話」を使って利便性は向上したが、対面交渉がなく利用者が「借金する後ろめたさ」を感じなくなってきた。若者が安易に借金に走る懸念もある。 確かに人生で「まとまった金」が必要な時はある。カウンセリング機能を備えた対面融資を経てこそ、借金すべきではないか。 ■横浜国立大学教育人間科学部教授 西村隆男さん 日本の家庭では封建的な雰囲気や主従関係もあって「お金の話」はタブー視されていた。一方で、日常生活で「しつけ」や「監視の目」が行き届いて、小銭の使い方まで自然と金銭感覚が養われた。だが、核家族化が進み、「電子マネー」なるものが登場した現代、夫婦子供の間で「家計」や「収入」について、あえて認識し合う必要がある。不況でリストラされたことを家族に言えない夫が多重債務に陥った例は、タブーに縛られていた現実がある。 大学の食堂で、学生が300円程度の昼食代を「カード」で払い、携帯電話を財布の代わりに使う。1円玉などの流通量が減ったデータもあろう。ネット上などに流通させる電子マネーを「バーチャルマネー」(仮想通貨)と呼んでいるが、利便性が高い反面、危うさをはらむ。量の増減の体感は薄く、家族の目も届きにくい。店舗が少ない地方都市では、ネットショッピングなどを通した諸問題の増加も懸念している。 教育の場では電子マネーなど購買手段の加速的変化に対応するため、危険察知能力、自力判断できる金融教育が必要だ。信販や投資に関する体験学習も積極的に取り入れるべきだ。子供世代を通じて、中高齢層の「再教育」も進めてほしい。 改正貸金業法の「総量規制」を「過剰融資規制」としていないのは「貸し手本位」が続くということだ。自己防衛力の養成や金融教育などを通じ、「消費者本位」の社会構造へ変えていかなければならない。 (おわり) (この連載は、飯田雄太、亀井伸太郎、影本菜穂子が担当しました) (2010年6月23日 読売新聞)
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