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【5】高齢者守る後見人制度 額田洋一教授山梨学院大・法科大学院スタッフが語る■家族間でも自立必要 老いが進めばだれもが適切な判断を下せなくなり、財産を守れなくなる可能性があります。後見人制度はその備えとしてきちっと理解しておくべきでしょう。 後見人制度は利用者によるサービスの選択をうたった介護保険制度とともに高齢社会を支える車の両輪とされ、2000年に創設されました。認知症などで判断力が衰えた本人に代わり、後見人に財産管理や生活に必要な売買などの手続きをしてもらう制度です。家族らの申し立てで家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定後見」と、本人が元気なうちに将来に備えて後見人を選んで契約する「任意後見」の2種類があります。 「法定」は家裁が選んだ成年後見人が本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人がした不利益な法律行為を取り消したりして本人を保護するものです。 「任意」は認知症になった後に後見人に財産の管理や売買契約をしてもらうのですが、後見人は家庭裁判所が任意後見監督人を選んだ段階で初めて仕事ができることになっています。お目付け役の監督人がいるから悪さができないという訳です。しかし、制度が十分理解されていないために公正証書にしていない契約や、監督人が選ばれないまま「後見人」が代理人であるかのように振る舞い、財産を勝手に処分するケースがあるのが実態です。親の財産目当てに遺言を先取りする形で子供が親に任意後見人を持ちかけ、身内の間で親の身柄の取り合いに発展するケースもあります。 「任意」は家裁に監督人を選んでもらい、監督人が選ばれた段階で効力を持つという約束を公正証書にしておくのが法律上の必須ポイントです。このことを十分注意しておけば、トラブルは未然に防げるはずです。 地域社会の協力も必要でしょう。あのお年寄りがどうも認知症らしいと思えば本人と行政をつなぐために、役所などに連絡してこの制度を利用してもらうようにするのです。 弁護士会でも老人クラブなどから依頼があれば、講師を派遣して制度を分かりやすく解説する講習会を開くところもあり、どんどん利用すべきでしょう。 一般にお年寄りの間ではお上や子供がうまくやってくれるという意識が強いように感じます。「オレオレ詐欺」もいい年をした子供の心配をして世話をする気持ちが先に立つから被害に遭うのです。親子、夫婦間でも自己と他者を意識して分ける。むしろそうした方が家族の関係もより強まるのではないでしょうか。 ◆ぬかだ・よういち 中央大学法学部卒。民事訴訟法担当。第二東京弁護士会所属弁護士、元司法研修所教官(民事弁護)。編著書に「よくわかる成年後見と介護・相続の法律百科」(三省堂)など多数。 (2009年3月3日 読売新聞)
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