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間伐材で温泉加熱ごうごうと炎を上げるボイラーに、スギやヒノキの曲がった枝や細い木々が投げ込まれる。作業をするのは、早川町の町営温泉施設「VILLA雨畑」の支配人、沢登祐二(50)だ。泉温14・2度の温泉を加熱する燃料は、町内で出た間伐材を使っている。 木材は地球温暖化の弊害が少ない「バイオマス」の一つ。早川町は、森林組合が間伐した木をVILLA雨畑が買い取り、ボイラーの燃料にする「バイオマスタウン構想」を推進している。 ◎ 「木材の価値を高めるだけでなく、水を蓄えたり土砂崩れを防いだりする森林機能を高めるため、間伐は最も大切」と、早川町森林組合業務課長の京島孝佳(たかよし)(41)は強調する。だが、急峻(きゅうしゅん)な斜面の森林が多い同町では、間伐材の搬出に多額の費用を要するため、地面に丸太が転がった森が増えていった。観光バスからも間伐材が放置されているのが分かり、大きな台風で流れ出す危険もあった。 観光を産業の中心に据える町は、運び出す費用を捻出するための対策を練り、山梨大と連携して2004年、間伐材をまきに活用することを考案した。 京島の長年の悩みは、山の仕事をする人数が安定しないことだった。日給制をやめて月給制を採用したが、雨で仕事がない日の出勤に不満が寄せられ、若い人材がなかなか定着しなかった。 バイオマスタウン構想が持ち上がると、京島は早速「雨の日には、まきを作る仕事を」と、木材製造の工場と連携を始めた。まき作りは、間伐材を長さ1メートル、直径20センチ程度に切りそろえる簡単な作業だ。晴れた日は通常の森林整備を行い、間伐材を運び出して保管。雨が降って現場に入れなくなると、まき作りをした。 「雨で仕事が全くのゼロということがなくなった」と京島。VILLA雨畑では、年間160トンの間伐材が必要で、間伐材の製造・販売は組合の新たな収入源になった。京島は「天気に左右されず、若い人もやりがいを持って仕事ができる。他の山村に取り組みが広がれば林業が活性化するはず」と手応えを語る。 ◎ ◎ 間伐材の現在の取引先はVILLA雨畑1か所だけ。京島は「宿泊客数に左右されるので、消費がなかなか軌道に乗らない」とぼやく。10、11年の台風の影響もあり、VILLA雨畑の宿泊客は半分程度に減り、間伐材の消費も09年の3分の1程度に落ちた。 京島は「もっと多くの施設でまきを燃やせれば、ほとんどの間伐材を運び出せるはず」と将来像を描く。町総務課は「将来的に町内の小中学校やそのほかの温泉施設に拡大していきたい」としており、バイオマスタウン構想の拡大を図る方針だ。(敬称略) (2012年1月9日 読売新聞)
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