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    松食い虫駆除で市が伐採、オオタカの巣も落下か

     長野県松本市が松食い虫駆除で4月に市内の林でアカマツを伐採した際、オオタカの巣を落下させていた可能性が高いことがわかった。

     オオタカが繁殖に入る時期で、専門家は「産卵しようとしていたなら、最もダメージが大きいタイミング」と指摘。県は近く、森林整備関係者に希少動物の営巣が確認された場合、繁殖に配慮するよう求める文書を出す方針。

     塩尻市の日本オオタカネットワーク会員の曽我英理也えりやさん(52)が4月26日、地面にある巣を見つけた。曽我さんによると、周辺ではオオタカの営巣が続いており、伐採されたアカマツも4、5年前から昨年まで繁殖を確認していた。

     今年の状況を確認しようと現地を訪れたところ、巣があったアカマツが伐採され、近くの地上で小枝を集めた直径1メートル近い巣を見つけた。卵やオオタカの羽根、フンはなく、曽我さんは「今年は営巣を放棄した可能性が高い。オオタカがショックを受け、林自体を捨ててしまうのが一番心配」と話す。

     松本市耕地林務課によると、市の委託業者がアカマツを伐採したのは4月9日。伐採後、シートをかけて薬剤の薫蒸処理をしている。指摘を受け、市は5月2日、事前に巣の有無を確認するように業者に通知を出した。

     県によると、松枯れ対策でオオタカの巣に影響が確認された事例は把握していない。松枯れ対策の伐採駆除は、病原体であるマツノザイセンチュウを運ぶマツノマダラカミキリが飛び立つ前に4~6月に行うのが効果的。だが、県は「繁殖期には希少動物の営巣に配慮すべきだ」と判断している。

     曽我さんは「オオタカが営巣をしない秋から冬に伐採駆除を行ってくれれば影響は少ない。双方が成り立つ方策に向けて議論が必要ではないか」と訴えている。

     ◆オオタカ=県版レッドリストでは、絶滅の危険が増大している「絶滅危惧2類」に分類されている。環境省レッドリストでは、関東地方を中心に個体数が増えたとして、存続基盤が脆弱(ぜいじゃく)な「準絶滅危惧種」とされ、種の保存法の「国内希少野生動植物種」から外れた。しかし、同省のガイドラインでは、里山を象徴する生態系の上位種として「営巣木保全の観点から、松枯れ対策も適切に行う必要がある」との姿勢は維持している。

    2018年05月16日 17時59分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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