<速報> フリーアナウンサーの小林麻央さん死去…34歳
    文字サイズ

    PM2.5 監視体制を強化

    最新機器10か所 発生メカニズム解明へ

     環境省は4月から、中国から飛来したり、国内で発生したりする大気汚染物質の微小粒子状物質(PM2.5)の監視体制を強化する。最新機器を全国10か所に導入して、24時間体制で詳細な成分分析を行うことで発生メカニズムの解明や発生源の特定につなげ、対策を進める。また、飛散予測の精度を上げる試みも続いている。

    絶え間なく分析

    • PM2.5に含まれる元素を分析する「連続測定機器」。上部の分級器から粒子を採取する(17日、大津市で)=野崎達也撮影
      PM2.5に含まれる元素を分析する「連続測定機器」。上部の分級器から粒子を採取する(17日、大津市で)=野崎達也撮影

     測定機器メーカー「堀場製作所」びわこ工場(大津市)敷地内の一角に、煙突のような、高さ約5メートルの筒が突き出た装置が設置されている。

     同社が開発し、環境省が4月から各地で使用を開始するPM2.5に含まれる元素を絶え間なく測定、分析できる「連続測定機器」だ。筒は汚染物質を取り込む「分級器」で、内蔵モーターなどで空気中の粒子を振り分け、2.5マイクロ・メートル以下の粒子を採取する。

     従来は機器から採取した粒子を取り出し、別の場所で分析装置にかける作業が必要だったが、連続測定機器は分析装置も備え、離れた場所のパソコンで、即時に数値の変動を確認することができる。開発を担当した同社の水野裕介さん(39)は「これまでに比べ圧倒的に楽に、詳細な分析が行える」と強調する。

     測定機器は種類によって、ガス濃度や、粒子の重さなど測定項目が異なる。4月に環境省が導入する同社の機器は、粒子に含まれる元素を70種類以上判別できる。パソコンで元素を示したグラフを確認すると、チタンの濃度が高い時間帯があったり、鉄が多く出る日があったりと、元素の種類と濃度にばらつきがある。

     草木が燃えた場合はカリウム濃度が高くなり、石炭を燃やすと鉛の濃度が上昇するなどの特徴があり、水野さんは「風向と組み合わせれば、PM2.5の発生源の推定につながる」と話す。

    データ集積

     現在も全国約1000か所で環境省や自治体などがPM2.5の重量の測定を行っているが、手間がかかることから、詳細な成分分析は、春夏秋冬の年4回、計8週間の限られた期間しか実施してこなかった。

     だが、具体的な発生、飛来のメカニズムの全容は明らかになっていない。そこで同省は2017年度から、連続測定機器を使い、大量のデータを集積、分析して発生源の特定などに生かすことにした。4月から同社などの観測機器を、PM2.5の影響が大きい福岡市のほか、北海道、東京都など全国10か所で監視。将来的には発生源の工場などでの削減に向けた技術支援などに役立てたい考えだ。同省担当者は「発生源が海外であっても、手をこまねいてはいられない」と話している。

    予測精度向上へ

     日々日本に飛来しているPM2.5警戒のため、コンピューターを用いた飛来予測についても研究が進んでいる。九州大学の竹村俊彦教授(気象学)は、大気中の浮遊粒子状物質による世界的な大気汚染状況や、気候変動への影響を計算するシステム「SPRINTARS(スプリンターズ)」を開発、08年にPM2.5などの日々の予測を始めた。

    • スプリンターズは、4段階でPM2.5の濃度を予測している(SPRINTARSホームページより)
      スプリンターズは、4段階でPM2.5の濃度を予測している(SPRINTARSホームページより)

     竹村教授は毎日、ホームページ上で注意が必要な「非常に多い」、日本の環境基準程度の「多い」、少しかすむ程度の「やや多い」、きれいな状態を指す「少ない」の4段階で予測情報を提供。データは報道機関なども使っている。

     システムは中国などのPM2.5濃度から予測するのではなく、中国の石油や石炭の消費量などを基にシミュレーションしている。現在、15年に運用が始まった新型気象衛星「ひまわり8号」の観測データを活用して予測精度を高めるよう、システムの改良を進めている最中だ。竹村教授は「九州など濃度が高くなりやすい場所では切実な問題なので、より精度を高めたい」と意気込む。(野崎達也)

    PM2.5
     直径2.5マイクロ・メートル(マイクロは100万分の1)以下の大気中に浮遊する微小粒子状物質。燃焼で大気中に排出されるほか、硫黄酸化物などの物質が大気中で化学反応を起こしてできるが、詳しい生成過程は完全には分かっていない。工場のばい煙、車の排ガスなどのほか、火山などの自然由来の場合もある。毛髪の太さの約30分の1ほどで、肺の奥まで入りやすく、呼吸器系疾患などへの影響が懸念される。

    2017年01月30日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP