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    次世代自動車に軽量新素材

    植物由来のプラスチックなど 燃費向上、CO2削減の期待

     非石油由来のプラスチックなどの樹脂が、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス削減に役立つ新素材として注目を集めている。

     新しい素材は、これまでの欠点だった熱に弱い性質を克服し、金属やガラスなどの代わりになる可能性を秘める。環境省などは、新素材を将来的に次世代自動車の部品などに使うことを目指し、技術面から地球温暖化対策を進めようとしている。

    耐熱性改善、用途広がる

    • バイオプラで作った折り鶴
      バイオプラで作った折り鶴

     「300度以上の熱風にさらしても溶けない」

     植物など石油以外の原料から作るプラスチックについて研究する北陸先端科学技術大学院大学(石川県)の金子達雄教授は、透明なセロハンのようなもので作った折り鶴を手に強調した。折り鶴は生物由来のバイオマスプラスチック(バイオプラ)の薄いフィルムでできている。

     従来のバイオプラは耐熱性が低く、用途が限られていた。しかし、金子教授は400度前後の高温に耐えるバイオプラの「ポリイミド」の生成に成功。従来のバイオプラの耐熱温度を100度も上回った。また、通常の石油から作るポリイミドと比べても透明度が高く、用途の選択肢が広がった。

     金子教授は2010年から、微生物学が専門の筑波大の高谷直樹教授と協力し、植物由来でも丈夫な素材の開発を進め、14年に高耐熱のバイオプラを実現した。原料は、スパイスのシナモンに構造が似ている「アミノ桂皮酸」だ。

     トウモロコシなどの植物などから得られるブドウ糖を、遺伝子操作した大腸菌によってアミノ桂皮酸に変化させた後、紫外線を当てて分子構造を変化させるなどして、熱に強いポリイミドを合成した。

     金子教授のバイオプラは高耐熱性を生かし、金属の代わりに自動車のエンジンのシリンダーなどに使うことを想定している。透明なのでガラスの代わりに窓にはめ込んだり、ライトのカバーやサンルーフに使ったりすることも想定する。大幅に軽量化できるため、金子教授は、「車を少しでも軽くして燃費を良くしたいという願いをかなえられるかもしれない」と話す。

    木材から抽出

     島根県の建設会社「藤井基礎設計事務所」が開発している木材由来の素材「リグノフェノール」も、金属に代わる素材として開発が進んでいる。間伐材の繊維を束ねる接着剤の役割を果たす「リグニン」から抽出した粉状の素材で、他の樹脂と混ぜることで、軽くても丈夫で加工しやすい素材になる。

     高い断熱性があって燃えにくく、車のボンネット裏に付ける断熱材や、配線が通るコネクターなど、熱が生じやすいところに使える。重量は金属製などの従来部品に比べて15~50%減らすことができるという。

     同社の担当者は「試作段階で軽量性は確認できているので、強度や耐熱性の検証を続けたい」としている。

     バイオポリイミドとリグノフェノールが普及すれば、生産時に多くのCO2を出す金属と置き換えることでCO2削減につながる。

    組み合わせて効果

     環境省は同社や金子教授の研究について、昨年から実証事業を始め、生産コスト削減や安定した供給方法を探っている。目標は、先行して研究が進む、木や竹が由来の素材「セルロースナノファイバー(CNF)」と組み合わせ、車体重量を10%削減した次世代自動車の実現だ。

     CNFは鉄と比べて硬さが5倍、重さは5分の1で高強度な軽量素材として注目され、各製紙会社が開発に力を入れている。ただ、CNFは耐熱温度が最高でも約280度のため、自動車のエンジン回りなどでは使いづらい。そこで同省は、耐熱性に優れるバイオポリイミドやリグノフェノールを組み合わせることにした。

     金子教授は「CNFと混合したら、もっと強い素材ができる可能性がある」と話す。環境省の担当者は「強度の強いCNFと組み合わせて使えば互いの長所が発揮される。少しでもCO2を減らすのに役立てたい」と意気込む。(野崎達也)

    2017年03月06日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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