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    賃貸住宅でも省CO2

    メーカー、行政 普及へ動く

     地球温暖化対策のため、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出が少ない一戸建て住宅のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及が進む中、賃貸住宅でも、省CO2化に向けて、住宅メーカーや行政が動き始めた。これまで賃貸住宅ではあまり重視されてこなかった、断熱性や備え付けの家電の省エネ性能などが、部屋選びの基準となる日も近そうだ。

    断熱で快適

    • 二酸化炭素の排出を抑えた賃貸住宅(埼玉県富士見市で)=野崎達也撮影
      二酸化炭素の排出を抑えた賃貸住宅(埼玉県富士見市で)=野崎達也撮影

     「今までの賃貸よりも断熱性に優れ、快適に過ごせます」。埼玉県富士見市にある3階建て集合住宅の一室。不動産会社の物件担当者は胸を張った。今年1月に建てられたばかりの物件は、省CO2住宅として貸し出されている。

    • 賃貸住宅のドアに貼られた省CO2住宅を示すステッカー
      賃貸住宅のドアに貼られた省CO2住宅を示すステッカー

     18戸あるうち、ある部屋は一見普通の50平方メートル弱の1LDKの造り。だが、従来の賃貸住宅よりも高性能の断熱材を使用したり、電力消費量が少ない発光ダイオード(LED)を使ったりして、同じ広さの部屋よりも、エネルギー消費量を24%も削減している。備え付けのエアコンや給湯器も省エネ型だ。住宅の入り口には「賃貸住宅における省CO2促進モデル事業」というステッカーが貼られている。

     この住宅のオーナーの横田豊三郎さん(65)は、省CO2という利点があるため、いくつかの選択肢からこの住宅を選び、建てることにした。横田さんは「温暖化が問題になり、パリ協定のような仕組みもできた。温暖化を気にかけるべきだし、自分たちにできることはやった方がよい」という。

     政府は2020年には新築戸建て住宅の半数をZEHにする目標を掲げているが、賃貸では具体的な目標はない。富士見市の省CO2住宅を手がけた積水ハウスの担当者は「居住者にとっては光熱費の節約にもつながる。戸建てのZEHは定着しつつあるので、今後は数の多い賃貸の集合住宅への展開が鍵になる」としている。

    星付け評価

     建物がどれだけCO2排出を減らせているかについては、第三者が省エネ性能を評価、認証する「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)」で、見える化が図られている。

     住宅のBELSは国土交通省などが16年4月に始めた制度で、新築、既存建物の照明や空調、断熱材などを審査して、星の数で五つから一つまでの5段階で評価する。集合住宅の場合は、部屋ごとに星が付けられる。富士見市の省CO2住宅の場合、いずれも4~5の星が付いている。

     住宅性能評価・表示協会によると、3月現在で一戸建てや共同住宅でBELSを取得した事例は計1万7000件を超えている。

     賃貸に特化した施策も動き始めている。環境省と国交省は16年度から、断熱材や再生可能エネルギーを使うことにより、住宅の省エネ基準よりも10%以上CO2排出量が少ない賃貸住宅を新築したり、リフォームしたりした場合、費用の一部を補助する事業を行っており、すでに600件以上が補助対象になっている。

          ◇

     環境省は、賃貸住宅をインターネット上のサイトで検索するときにも、BELSの有無などを条件にして部屋探しできるように業界側に促している。ただ、まだ省CO2賃貸住宅の数はかなり少ないため、実現には至っていない。

     約600万件の賃貸物件の情報を扱う大手不動産情報サイト「SUUMO(スーモ)」の池本洋一編集長によると、賃貸物件への不満に関する消費者アンケートでは、1位の「隣室の騒音」に次いで、「断熱性がなく、夏暑くて冬寒い」という項目が2位だったという。

     池本編集長は「消費者が賃貸に住んでみて不便さに気付き、『何とかならないか』と思っているのは事実。環境性能を分かりやすく比較でき、選べる社会になればいい」と考えている。省CO2賃貸が増えれば、サイトで特集を組むことなども検討したいという。(野崎達也)

    2017年05月08日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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