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    太陽光 自家消費へ転換期

    家庭用蓄電池 購入補助へ

     住宅用太陽光発電装置を普及させるカギとして、電気をためる蓄電池が注目されている。2019年から固定価格買い取り制度(FIT)の適用期間が過ぎる装置が出てくることから、環境、経済産業の両省は、18年度から蓄電池購入を補助し、「売電」から「自家消費」へ切り替えを促す方針だ。ただ、蓄電池は高価で、定着にはまだ時間がかかりそうだ。

    昼間ためて夜使う

    • 大和ハウス工業が販売している蓄電池。住宅の裏手に置き、昼間に太陽光発電で作った電気をためる
      大和ハウス工業が販売している蓄電池。住宅の裏手に置き、昼間に太陽光発電で作った電気をためる

     東京・西新宿にある住宅展示場。太陽光発電装置が設置されたモデルハウスの裏手に回ると、高さ1メートルほどの銀色の箱がわずかにモーター音を立てて、稼働していた。「これが蓄電池。空調の室外機の横に置けるので場所を取りません」。展示場の担当者はそう紹介してくれた。

     蓄電池の上に手を置くと、じわっと温かさが伝わってくる。昼間に太陽光発電装置で作った電気を、蓄電池にため込んでいる瞬間だった。ためた電気は夜間や停電時などに使うことで、太陽光の電気を余すことなく使い切り、光熱費も減らすことができる。

     再生エネの柱の一つとなる太陽光発電。住宅用太陽光発電装置の普及を目指し、環境、経産両省が期待を寄せるのが、この蓄電池だ。背景には、19年以降、電力会社に電気を売る際の固定価格が適用されなくなる家が出てくることがある。

    売電の魅力低下

     住宅用太陽光発電は、09年に始まった「余剰電力買い取り制度」と、これを引き継ぐ形で12年にFITが導入されたことを契機に人気が高まった。資源エネルギー庁によると、国内で12年7月から16年11月末までに運転を始めた住宅用太陽光発電装置の総出力は446万キロ・ワット。12年6月末時点に比べ、2倍近く増えた。12年の買い取り価格は1キロ・ワット時あたり42円と比較的高い価格に設定され、「住宅ローン返済の足しにもなる」との売り文句もあり、太陽光発電は爆発的に広まった。

     ただ、電力会社が買い取る費用は「再エネ発電()()(きん)」として毎月の電気料金に上乗せされており、一般の電力利用者の負担を軽くするため、買い取り価格は年々安くなる傾向にある。さらに、固定価格が適用されるのは10年間で、19年以降にFIT適用期間が過ぎる装置を持つ住宅からの電気は、固定価格ではなく、市場価格での取引が原則となる。その結果、売電価格がより低くなることも想定され、太陽光発電装置の需要が減る恐れがある。

    購入費の3分の1補助

     そこで、環境、経済産業の両省は、太陽光発電による電気の用途を、「売却」から蓄電池を活用した「自家消費」へと切り替えるよう促す。両省は18~19年度、出力10キロ・ワット未満の太陽光発電装置を備える住宅を対象に、蓄電池の購入費には3分の1まで、工事費は1台あたり5万円まで補助金を出す方針を示し、18年度の概算要求に84億円を盛り込んだ。同年度は約3万戸を補助する計画だ。

    • 自宅に据え付けたタブレット端末で、太陽光で発電したり蓄電池に蓄えたりした電気の使用状況をチェックできる
      自宅に据え付けたタブレット端末で、太陽光で発電したり蓄電池に蓄えたりした電気の使用状況をチェックできる

     住宅メーカーなどはこれを商機と捉えている。11年秋から累計約1万台の蓄電池を販売してきた大和ハウス工業(大阪市)は「補助制度は追い風になる」と歓迎。蓄電池メーカーのエリーパワー(東京都品川区)は、停電時でも最長24時間使える蓄電池の販売強化に乗り出す。エリー社は「住宅の断熱効果を高め、家庭用燃料電池も併用すれば、電気を電力会社から買わずに済ますことも可能」としている。

     だが、補助があっても、蓄電池はまだ手軽に手が出せる金額ではない。蓄電池の設置には、工事費を含め1台につき150万円前後かかる。国が18年度から出す予定の補助金を差し引いたとしても、負担は100万円を超える見通しだ。

     ある住宅メーカー幹部は「営業の現場で値引きをしない限り、設置台数は大幅に増えないだろう。補助額を上げるなど、もっと国は支援してほしい」と話す。(中根圭一)

    固定価格買い取り制度(FIT)

     再生可能エネルギーの普及を促すため、電力会社に対し、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5分野の電力を、政府が決めた価格で一定期間、買い取るように義務づけた制度。2012年7月に始まった。太陽光発電だけは、09年11月に前身の「余剰電力買い取り制度」が先行して始まり、当時から固定価格で買い取りが行われていた。

    2017年10月02日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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