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    容器改良 おいしさ長持ち

    商品の製法も見直し 食品ロス削減に効果

    • パック詰めされた総菜が並ぶファミリーマートの店頭(東京都豊島区で)
      パック詰めされた総菜が並ぶファミリーマートの店頭(東京都豊島区で)

     食べ物を新鮮に保ち、おいしく食べられる期間を延ばそうと、食品メーカーなどは包装容器の改良や製造方法の見直しを進めている。まだ食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」を削減する効果も期待されている。

    酸素と水分遮断

     コンビニエンスストア「ファミリーマート」サンシャイン南店(東京都豊島区)。冷蔵ケースの総菜コーナーには、きんぴらゴボウや切り干し大根など、パック詰めされた約20種の商品が並び、学生や会社員らが次々と商品を手に取った。

     同社は2016年、総菜のパックを一新し、白いプラスチック容器に透明フィルムでふたをする仕様に統一した。容器、フィルムとも多層構造で、酸素と水分を遮断。さらに容器内に窒素ガスを充填じゅうてんし、食品の酸化と雑菌の繁殖を抑えた。その結果、安全に食べられる期間を示した消費期限を、従来の2日程度から5日程度まで延ばした。

     総菜は工場で作られ、翌日には店頭に並ぶ。売れ残った場合、消費期限の6時間前に撤去、廃棄される。消費期限の延長で、最長4日間、棚に並べて販売することが可能になった。「消費期限の延長には多くの利点があった」。開発を担当した同社の中里聡信さん(47)は語る。

     以前より多くの総菜が棚に並び、売り上げがアップ。店舗では数日先までの売れ行きが予測でき、無駄な発注による売れ残り、廃棄を減らす効果もあった。容器の気密性向上で、保存料を減らすことができた。

     同社は、総菜を作る工場内の温度を15度に保つなど、さらに消費期限を延ばすための工夫を続けるという。

    廃棄は3分の1に

     食品メーカー「ミツカン」は16年、納豆のおいしく食べられる期間を示す賞味期限を9~11日間から15日間にした。納品先のスーパーでは、賞味期限切れで廃棄された数は以前の3分の1だという。同社広報部は「たった5日間の延長でも、食品ロス対策では大きな効果があった」と胸を張る。

     納豆の容器は、1枚の発泡スチロール板で作る。以前は2本の切れ目に合わせてふたを折り返していたため、容器を横から見ると三角形の隙間があった。改良後は切れ目を1本にして隙間をなくした。ふたに開けていた空気穴をなくし、さらに気密性を高めた。

     製造から時間がたつと、納豆のアミノ酸が結晶化し、ジャリジャリとした食感になることがある。対策として、発酵時の温度をやや高め、納豆菌の活動を抑えて結晶化を防ぎ、賞味期限の延長につなげたという。

     マヨネーズを製造・販売する食品メーカー「キユーピー」では、広報部の担当者が「マヨネーズの主な原料は植物油、卵、酢。油の酸化をいかに防ぐか。改良の歴史は酸素との闘いの歴史」と語る。

     1925年の発売当初は瓶入り。1958年に現在と同じ形のポリボトル入りが発売された。72年には酸素を通しにくい多層構造のボトルを採用。その後もボトルの改良は続いている。

     植物油に窒素ガスを吹き込むことで、油の中の酸素を追い出す製法を開発。さらに工場内で原料が酸素に触れる機会を極力減らした。努力の結果、2002年には7か月だった賞味期限を10か月に。さらに16年には12か月まで延ばした。

    1人ご飯1杯分 無駄に

     国連食糧農業機関の調査によると、世界全体の食品ロスは、年間に生産される食料の3分の1にあたる約13億トン。日本では年間621万トンで、国民1人が毎日、茶わん1杯分のご飯を捨てている計算になる。

     農林水産省は昨年、容器包装や製造過程の改良点を集めた事例集を作成。調味料や加工品など72事例を紹介している。同省食品産業環境対策室は「賞味期限の延長は、食品ロス対策に効果的。各メーカーの工夫を知って、買い物の時には積極的に選んでほしい」と呼びかけている。

    2018年02月05日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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