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(5)乱獲甘草 栽培へ転換

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種まきの時期に甘草の栽培地を耕す人たち(同省綏徳で)=青山謙太郎撮影

 黄土色の山々を見渡す標高1100メートルの斜面に、葛根湯(かっこんとう)など日本で出回る漢方薬の7割に含まれる甘草(かんぞう)の栽培地があった。北京から約600キロの陝西省綏徳(すいとく)。村人がラバでスキを引く。

 甘草の種を手でまいていた楊漢光さん(74)は「12歳で孤児になり、生きるために甘草を掘った。今、甘草は遠く急峻(きゅうしゅん)で危ない所にしか残っていない。収穫が楽しみです」と目を細めた。

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倉庫に山積みにされる甘草(中国・陝西省子洲で)

 さらに北に30キロの陝西省子洲にも、甘草栽培地がある。同じような山の斜面に種をまいて11年目。村人がクワをふるうと、3メートルはある根っこが現れた。

 両栽培地とも、西安妙香園薬業有限公司と日本の専門商社・栃本天海堂(大阪)が共同出資して手がける。

 野生の甘草は、地中を水平に伸びる根茎(最長数十メートル)と下に伸びる根(同10メートル)に薬になる成分が含まれ、深い穴を掘って採取する。北京大薬学院の蔡少青教授(49)(生薬学)は「甘草1キロを採ると、広さ数十平方メートルの植生が壊れてしまう。砂を固める作用があるので、乱獲は草原の砂漠化を招く。50年ほど前に比べ、自生する甘草の量は1割前後に減ってしまったという推計もあり、正確な調査が必要だ」と話す。

 1980年代に内モンゴルをよく訪れた栃本天海堂の役員によると、採取地の草原は、「人の背丈ほどの穴があちこちに開き、土壌深くまで乾燥していた」。

 中国政府は10年前、矢継ぎ早に採取、輸出を規制した。有限な生物資源を大切にしつつ利用するための栽培は、緒についたばかりだ。(おわり)

 この連載は、編集委員・河野博子、地方部・宮沢輝夫が担当しました。

2010年4月30日  読売新聞)

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