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「もう一つのシンボル」 屋久島で分布地図作り

「ヤクタネゴヨウ調査隊」

ヤクタネゴヨウの保全活動を続ける手塚さん(手塚さん提供)

 「月のうち、三十五日は雨」。林芙美子が「浮雲」でこう表現した屋久島(鹿児島県)は、世界自然遺産の島であり、樹齢1000年以上の屋久杉で知られる。「だが島にはもう一つのシンボルがある」。そう話すのは、地元の市民団体「ヤクタネゴヨウ調査隊」の手塚賢至代表(58)だ。

 ヤクタネゴヨウは五葉松で、屋久島と種子島にのみ自生する。だから「屋久種子五葉(やくたねごよう)」だ。屋久島に2000本、種子島に300本程度と推定されるが、戦後の伐採や松食い虫被害などで減少。少ない木が近親交配して種の元気もなくなり、絶滅が心配されている。

 木を守り、広く知ってもらおうと、ボランティアや樹木医らが参加する調査隊は1999年に発足。種子島の団体とともに、すべてのヤクタネゴヨウについて位置や方位、直径、高さなどを現地調査した上で1本1本にラベルをつけ、正確な分布地図を作るという地道な活動を続けている。

 屋久島の自生地は、標高300〜1000メートルの三つのエリアに限定される。だがそれは岩場の尾根であったり岩壁の際であったりする。「アカマツやクロマツより成長が遅く、植物相が多様な屋久島では成長の過程で負けてしまい、他の植物が生えていない場所に自生しているのではないか」

 森林総合研究所九州支所の金谷整一主任研究員(42)はそう説明する。もともと九州大学大学院でヤクタネゴヨウを研究していた金谷さんが手塚さんと出会い、調査隊が発足した。調査隊は延べ948人が118回の調査を行い、1896本を確認した。そのデータは、同研究所でも活用されている。

 「分布調査はほぼ終了の見通しがついた」と手塚さん。最近は高い尾根での枯死が目立つようになったのが気になる。中国大陸からの越境汚染の影響を、もろに受けているのではないかと考えている。

 「今後は、国の天然記念物指定を働きかけ、もう一つのシンボルとして、しっかりと位置づけたい」

2011年9月20日  読売新聞)
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