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「絶滅の恐れ」クマ保護へ、山林680ha買収計画

 絶滅の恐れがある紀伊半島のツキノワグマの生息地を守ろうと、自然保護団体「日本熊森(くまもり)協会」(兵庫県西宮市、森山まり子会長)が、市民の寄付でまかなうナショナル・トラスト運動で、三重県大台町にある約680ヘクタールの山林の買い取りに乗り出す。

 皇居の約6倍という広さで、募金目標は9000万円。天然のうっそうとした広葉樹の森が、市民の手で守られることになる。

 同協会が買収を目指すのは、三重県大台町の父ヶ谷(268ヘクタール)と池ノ谷(408ヘクタール)の山林で、清流として知られる宮川の上流域。古来、伊勢神宮に材木を供給する神聖な山林ともいわれてきた。

 環境省などによると、ツキノワグマはかつて本州に広く生息したが、西日本ではスギ、ヒノキなど人工林が増えるに伴い激減。九州では絶滅、四国でも数十頭を残すのみになっている。餌となるドングリの実を付けるミズナラ、シイなどの広葉樹が減ったことが主な原因とみられている。

 紀伊半島は全体で180頭と推定され、西日本では希少な生息地だが、目撃情報が少なくなっており、同省は1991年、「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定した。紀伊半島の森は都市や道路などの境界線で隔絶され、他の地域のツキノワグマと交雑できないため、保護なしには存続できない恐れがあるという。

 買い取りを目指す土地は私有林で、同協会は今年7月、地主が手放す意向であることを知り現地を視察したところ、広葉樹が数多く残ることが確認された。同協会は天然林を保全することで、ツキノワグマを絶滅から救いたいとしている。

 同協会は97年結成、会員約2万3500人。資金集めは同協会のトラスト部門であるNPO法人「奥山保全トラスト」で行う。まずは募金で9000万円を集め、残りは従来の会員の寄付などで蓄えた資金を充てるという。同協会はこれまで動物や生態系の保護を目的に、富山県上市町や浜松市など9か所で計1266ヘクタールの山林をトラスト運動で購入した実績がある。

 来年10月には名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が予定されており、同協会は「日本の森林の多様性と保護の重要性を世界にアピールしたい」と意気込んでいる。寄付の問い合わせは、同トラスト((電)0798・22・3017)。

 ◆ナショナル・トラスト運動=貴重な歴史的建造物や自然環境を市民の寄付で買い取り、保存する運動。19世紀に英国で始まった。日本では1964年、鎌倉の鶴岡八幡宮の裏山を保存する運動に始まり、北海道の知床国立公園や東京・埼玉にまたがる狭山丘陵の「トトロの森」などでも行われた。

2009年11月2日04時08分  読売新聞)
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