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    行者ニンニク×ニラ、「行者菜」の出荷好調

    • 行者菜の生育状況を確かめる横沢さん(左)と遠藤さん(7月11日、長井市で)
      行者菜の生育状況を確かめる横沢さん(左)と遠藤さん(7月11日、長井市で)
    • 修験者のキャラクターが描かれたフィルムに包装され、出荷を待つ「行者菜」
      修験者のキャラクターが描かれたフィルムに包装され、出荷を待つ「行者菜」

     修験者のスタミナ食とされる希少な山菜「行者ニンニク」とニラを交配した新野菜「行者菜ぎょうじゃな」。

     生産に力を入れている山形県長井市の出荷が好調だ。今年の出荷量は、過去最高だった昨年を上回るペース。市内の農家などでつくる「行者菜生産グループ」(横沢芳一代表)によると、売り込みによる知名度アップのほか、農家ではない一般市民に生産協力を求めるユニークな取り組みが奏功しているという。

     「生産は順調。今年の目標の20トンを上回ると思う」。青々とした行者菜が育つ同市時庭の畑で、同グループ事務局の農業遠藤孝太郎さん(64)がうれしそうに話した。行者菜の収穫時期は5~9月。昨年の出荷量は15トンと、初出荷の2007年の10倍に伸びたが、今年は7月末で14トンに達しており、8月中に記録を更新するのは確実だ。

     行者菜は見た目はニラに近いが、食欲をそそる行者ニンニクに似た強い香りが特長。稲作が主体の遠藤さんは「これは売れる」と確信し、06年から横沢代表(64)ら7人で複合経営の一環として生産を始めた。行者ニンニクは収穫期間が約2週間と短いが、行者菜は約5か月間。苗を一度植えると4、5年は持つうえ、一つの株から年に3、4回収穫できる効率の良さも魅力だった。

             ◇

     生産は最初から順調だったわけではない。消費者からは「価格の高いニラ」と言われたことも。だが、「食べてもらえば違いは分かる」と、修験者をモチーフにしたキャラクターを作ったり、定番の卵いためのほか、ピザやグラタンなど多彩なレシピを作って地元の飲食店や消費者らに配ったりと、PRに力を入れた。

     12年頃からは東京などで開かれる農産物の展示商談会にも出向き、市場や百貨店、スーパー関係者、料理人らに売り込みを続けてきた。

     その成果もあり、取引業者も13年の約10業者から現在は約70業者に増え、県内や関東のほか、関西や名古屋、福岡にも広がっている。

             ◇

     一方、生産を担う農家は他の農産物の栽培などもあり忙しいため、生産者は20人程度と伸び悩んだ。ここ数年は注文があっても出荷が追いつかない時期もあった。そこで昨年、主婦や仕事を退職した人などに、機械など高額な投資のいらない副業として生産協力を呼びかけたところ、10人近い“新規就農”があった。

     今年2月には「行者菜100人プロジェクト」を開始。5年間で生産者を100人に増やす試みで、今年は新たに16人の仲間が増え、苗の植え付けを終えた。来年から出荷に加わる。

     元公務員で長井市民文化会館の館長を務める孫田忠志さん(62)は、行者菜で作ったギョーザを食べて「格別にうまい」と感動。趣味と実益を兼ねて同プロジェクトに参加し、自宅の畑に行者菜を植えた。「無農薬栽培なので雑草が生えて大変だが、毎日大きくなるのを見るのが楽しみ。おいしい物を作って皆さんに提供したい」と張り切っている。

     事務局の遠藤さんは「さらに協力者を募り、生産量を増やしていく。『行者菜』とは何かを説明しなくてもよくなるように、長井市の特産物としてもっと知名度を上げていきたい」と話している。

    2017年08月13日 14時47分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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