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    「田舎のヒロインズ」誕生…女性農業者ネットが再出発

    TPPや原発事故を契機に若返る

    • 「作り手からの発信をどんどんしたい」と話す大津さん(中央)、丹羽さん(左)、高橋さん(12日、東京都内で)
      「作り手からの発信をどんどんしたい」と話す大津さん(中央)、丹羽さん(左)、高橋さん(12日、東京都内で)

     全国の女性農業者や賛同者で作る情報交換組織「田舎のヒロインわくわくネットワーク」が設立20年を迎えた3月、名称を「田舎のヒロインズ」と改め、再スタートを切った。

     理事全員を40歳以下にして若返り、女性目線での発信力を高めることなどを活動の柱としていく。

     メンバーは200人弱。現在、新たなNPO法人として申請中だ。

     新組織の理事長に就任したのは、熊本県南阿蘇村で夫とコメ農家を営む大津愛梨(えり)さん(39)。ドイツに留学した経験などから環境問題にも関心を持って活動してきた。

     大津さんは「環太平洋経済連携協定(TPP)、農家の高齢化進行、福島第一原発事故による放射能汚染など、農村を巡る大きな課題がある今、動きやすい若手が行動を起こしていく必要がある」と世代交代の意義を説明。また、「子どもたちに安全なものを理解してもらいたいという母親の目線を持つ人も多い。農村を訪れた人をおもてなしするノウハウを持っている女性の強みを新組織に生かしていきたい」とも。

    福島でのエネルギー勉強会からスタート

     新組織では<1>「どういう思いで農産物を作っているか」について、インターネットやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、英語などを活用し、女性農業者から国内外への女性目線の「情報発信力」を高める<2>自然なおもてなしで農村に来ていただく「受信力」を高める<3>エネルギーをたくさん消費する農業者の立場から、農作物の廃棄部分や家畜糞尿など自分たちの資源から再生可能エネルギーを作る――の三つを活動の柱とする。

     最初の具体的活動としては、今夏から、福島でエネルギーに関する連続勉強会を開催していく予定だ。福島県浪江町の出身の理事で日本農業経営大学校生の松本幸子さん(28)は、大学校卒業後に同県浜通り地方での就農を目指しており、「若い女性たちが農業を目指す取り組みにしたい」と話す。

    「農家の嫁」でなく、職業として

     副理事長で山形県村山市にある農業生産法人「山形農業ガールズ」代表の高橋菜穂子さん(32)は「女性が『農業をやりたい』というと、すぐ『農家に嫁に行けばいいじゃないか』という声が出るが、それで解決するわけではない。農業高校や農業大学校などで学び、女性が職業として農業を選ぶようになってほしい」と話す。

     また、同じく副理事長の丹羽なほ子さん(34)は兼業農家の出身。トライアスロンをきっかけに食生活を見直す「スローフード」の考えに行きつき、現在は岐阜県を拠点に野菜作りや無添加ジャム作りをしているという。

    世界的にも珍しい女性農業者のネット

     45歳の時に前身のわくわくネットを立ち上げ、2012年まで理事長を務めていた山崎洋子さん(65)にも話を聞いた。現在も福井県三国町で農業研修の学生らを迎え、ブルーベリー農園の農場作りなどに取り組んでいる。

     「私たちの娘の世代に引き継ぐことができてほっとしています。田舎のヒロインズのように女性農業者が自発的、自立的にネットワーキングした組織は世界的にも珍しく、貴重な人材の宝庫。日本は自然や経済が豊か過ぎて逆にわからないことが多いので、発信力のある若い理事たちにどんどん新しいことに取り組んで欲しい」とエールを送っている。

     「田舎のヒロインズ」ウェブサイトはこちら

     田舎のヒロインわくわくネットワーク 1994年に山崎洋子さんが呼びかけ、任意団体として設立。山崎さんが87年にヨーロッパ農業研修に行き、その記録を「我ら田舎のヒロインたち」という本にまとめたのがきっかけで、様々な女性農業者と知り合い、「孤立しがちな農家の女性たちの情報交換、勉強の場をつくろう」と始まった。これまで8回の全国集会を開催しており、2002年にNPO法人化された。

     (メディア局編集部 京極理恵)

    2014年03月17日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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