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    「光」の力で未来を変えてゆく~ニコン

    経済部 松尾大輝
    • 2017年7月25日読売新聞朝刊の全面広告
      2017年7月25日読売新聞朝刊の全面広告

     紙面を開くと、古い顕微鏡と2台のカメラが横一線に並び、その上に「ニコン100歳。」の大きな活字が躍っている。ニコンが創立100周年を迎えた7月25日に読売新聞朝刊に掲載された全面広告は、イメージカラーの黄色と黒のコントラストと相まって、強い印象を与える。

    製品の背景に一筋の光

     広告に並べたのは、自社設計による初の顕微鏡「JOICO顕微鏡」と、カメラの初号機「ニコンI型」、ニコン初のレンズ交換式一眼レフカメラ「ニコンF」の三つ。岡本恭幸常務(61)は「今日までのブランドを支えてきてくれた」と語るように、いずれもニコンの歴史を象徴する製品だ。

     光学機器メーカーだけに、撮影は徹底的にこだわった。

     例えば、「JOICO顕微鏡」は、ニコン創立100年を記念して2015年にオープンしたニコンミュージアム(東京都港区)に展示されているが、すべての部品がそろっているものはこの1台しかない。移動時の破損などを避けるため、午後6時の閉館後、ミュージアム内に簡易スタジオを設営して撮影した。

    • ニコンミュージアムの「映像とニコン」コーナー
      ニコンミュージアムの「映像とニコン」コーナー

     ポイントは、ニコン100年の歴史を象徴する3製品と、それに添えた「すべては『光』が始まりでした」とのコピーにある「光」の要素をどう表現するかだった。今までも、これからも、光の技術で未来を変え続けることを印象づけるために、製品の背景に一筋の光が差し込むような構図にした。より完成度の高い製品写真を撮るべく、事前に別スタジオでテスト撮影を行うなど念入りに準備をして臨んだが、照明の当て方を細かく調整して納得の1枚を撮り、撤収が完了したのは午前0時を過ぎていたという。

     広告の右上に添えられた100周年記念ロゴも、社内コンペで選んだものだ。「社員が参画して100周年を盛り上げる」との牛田一雄社長(64)の考えがあったためで、社内から寄せられた約60案の中から牛田社長が自ら選んで決めたという。ロゴは広告だけでなく、社員の名刺や記念製品のパッケージなどでも使われ、ニコンが創立100周年を迎えたことを統一デザインで国内外に広く発信した。

    「100年の感謝を、100年の挑戦に。」

    • 2017年4月5日読売新聞朝刊の全面広告
      2017年4月5日読売新聞朝刊の全面広告

     実は、ニコンは4月5日にも100周年の広告を出している。創立記念日である7月25日を前に、年度初めにも100周年を迎えることを伝えたかったという。この時は、レンズなどニコンが誇る光学素材の製造技術の粋である「合成石英ガラスインゴット」と呼ばれる巨大なガラスの塊を、一人の少年がのぞき込んでいる構図で、「100年の感謝を、100年の挑戦に。」とのコピーを添えた。広告を担当した広報部の豊田陽介部長(55)と安部宏さん(40)は「現在ニコンを使ってくれているお客さんへの感謝と、これからお客さんになってくれる方々へニコンを知ってもらいたい気持ちを表現した」と語る。

    • ニコンミュージアムに展示されている「合成石英ガラスインゴット」
      ニコンミュージアムに展示されている「合成石英ガラスインゴット」
    • 広告を担当した安部宏さん(左)と豊田陽介さん
      広告を担当した安部宏さん(左)と豊田陽介さん

    • #055
      #055

     ニコンは7月、新たな経営ビジョン「Unlock the future with the power of light」を発表した。広告にも載せたこのビジョンは「光の力で未来を切り開く」という意味の通り、これからも様々な領域で活用されるレンズを始めとする光学技術の可能性に挑み、進化し続けるとの決意を込めた宣言だ。

     次の100年に向けて挑戦は始まっている。

    (経済部 松尾大輝)

    ◆ニコン
     1917年、東京計器製作所の光学部門と岩城硝子製造所の反射鏡部門を統合し、日本光学工業として設立。1988年にニコンに社名を変更した。デジタル一眼レフカメラをはじめとする映像事業のほか、半導体を製造するのに必要な半導体露光装置などの精機事業、顕微鏡や検眼鏡などのヘルスケア事業を手がける。ニコンミュージアムは、カメラなど、これまで生み出してきた数々の製品や、長さ130センチもある合成石英ガラスインゴットなどニコンの高い光学技術を目にすることができる。入館無料で2015年10月のオープン以来、2年間で延べ約7万5000人が来場した。2017年3月期の連結売上高は7488億円、従業員数は2万5031人。本社は東京都港区。ウェブサイトは こちら

    2017年10月26日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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