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    ケータイ会社からの「脱皮」宣言~NTTドコモ

    経済部 小林泰明

     赤いバックに浮かび上がる巨大な「d」の文字が、写真でにぎやかに形作られている。空飛ぶドローンが荷物を運んでいたり、VR(仮想現実)ゴーグルをかけて笑う人がいたり……。映像が浮かぶリストバンドもある。どれも近未来を予感させる写真ばかりだ。「ケータイ会社」の広告とすぐに気付く人は少ないだろう。

     NTTドコモが2018年1月1日付の読売新聞朝刊に掲載した全面広告は、ケータイ会社から脱皮し、新分野を開拓しようとするドコモの強い意気込みが伝わってくる。

    • 2018年1月1日付読売新聞朝刊の全面広告。URLも記載し、ドコモが目指す九つのサービスを動画で楽しめるようにした
      2018年1月1日付読売新聞朝刊の全面広告。URLも記載し、ドコモが目指す九つのサービスを動画で楽しめるようにした

    「安心」の先の革新サービス

    • 広告を担当したNTTドコモの持永さん
      広告を担当したNTTドコモの持永さん

     「ドコモの先進性が直感的に分かる作りにした」。広告を企画したプロモーション部の持永(もちなが)紘志(こうじ)担当課長(39)は説明する。携帯業界トップのドコモには「安心」というイメージを持つ人が多い。広告ではそうした企業イメージを一歩前に進めるため、「ケータイの枠を超え、新しい取り組みを進めていることを前面に押し出した」(持永さん)という。

     鮮やかな「ドコモレッド」で塗られた広告の中央で大きな存在感を放つ「d」の文字。この文字はドコモが取り組む九つの「革新サービス」のイメージ写真で形作られている。

     VRゴーグルを付けている女性はドコモが実現を目指す「新たなエンターテインメント体験」を楽しんでいる。ドコモはVRや通信技術を組み合わせ、音楽やスポーツをまるでその場にいるように体感できるサービスの実現を目指している。

    • 音楽やスポーツのVR体験に力を入れる
      音楽やスポーツのVR体験に力を入れる

     ゴーグルにスマートフォンを付けるだけで、歌手のライブ映像を360度、自由な視点で楽しめるサービスをすでに始めている。写真の女性はもしかしたら好きな歌手の3D映像を楽しんでいるのかもしれない。


    ドローン、AIエージェント…

    • 宅配や広告への活用など、ドローンビジネスを本格化させる
      宅配や広告への活用など、ドローンビジネスを本格化させる

     所々に飛ぶドローンは、携帯電話網を活用したドローンサービスをイメージしている。全国の隅々に張り巡らしたドコモの通信網を使えば、ドローンを遠隔操作で遠くに飛ばし、様々な用途に使うことができる。無人の宅配サービスに使ったり、空飛ぶ広告に使ったり……。ドコモのドローンビジネス参入で、活用の可能性は大きく広がる。

    • スマートフォンなどに話しかけると、様々なことをしてくれる「AIエージェント」
      スマートフォンなどに話しかけると、様々なことをしてくれる「AIエージェント」

     薄い巻物のようなディスプレーを手にする若者は、人工知能(AI)に道案内をしてもらっている。スマホなどと音声で対話できる「AIエージェント」サービスだ。ドコモはスマホとAIをつなぎ、スマホが「執事」のように好みに合ったお店を教えてくれたり、現地まで案内してくれたりするサービスの提供を目指している。

     一つ一つ写真を見ていくと様々な発見があるが、持永さんは「とにかくドコモが何か新しいことを始めている、という第一印象を大事にした」と話す。その狙いは当たり、広告掲載後、読者からは「未来への可能性を感じる」、「通信技術の進歩に興味がわいた」、「新しいライフスタイルの取り組みに期待したい」といった声が寄せられたという。

    「すごいテクノロジーで、ふつうの毎日を」

    • #061
      #061

     大きな「d」の字とは対照的に、左上にさりげなく配置したのが「AI、VR、IoT、5G。すごいテクノロジーで、ふつうの毎日をつくっていこう。」というコピーだ。

     「スタジアムにいなくてもまるで試合のその場にいるかのようにスポーツを体感する」、「ドローンの宅配便が約束の時間に荷物を運んでくる」――。コピーではドコモが目指すサービス像を具体的に示した。「どんな風に生活を変えるのか、文章で分かりやすく表現することに時間をかけた」と持永さん。

     締めの文章は「すごい技術で(かな)えたいのは、今までにない、ふつうの毎日。ドコモはチャレンジしていく」と力強い言葉で結んだ。

     「新技術で毎日の暮らしを変える、というドコモの決意表明だった」と、持永さんは言う。元旦広告で宣言したサービスは今、実現に向けて次々と動き出している。「新しいケータイ会社」に向け、ドコモは着実に歩みを進めている。

    ◆NTTドコモ
    NTTが1992年、携帯電話部門を分離し、発足した。99年に携帯電話でインターネットを使える「iモード」を開始して大きく利用者数を伸ばし、現在も携帯電話市場で約4割のシェア(市場占有率)を占める。近年は動画配信や電子雑誌、クレジットカードなど、携帯以外の事業にも力を入れる。2017年3月期の連結売上高は約4兆6000億円。連結従業員数は約2万7000人。本社は東京都千代田区。ウェブサイトは こちら

    2018年03月29日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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