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    IMAGINE 2020~凸版印刷

    経済部 浅子崇
    • 2018年3月19日付読売新聞朝刊の全面広告
      2018年3月19日付読売新聞朝刊の全面広告

     東京のどこかにありそうな風景で、通行人の横を疾走するランナーたち。一見すると、よくあるマラソンの一場面だ。しかし、よく見ると、歩道には会社員風の男性や女性の姿、ランナーはモノクローム……。

     2018年3月19日付の読売新聞朝刊に掲載された凸版印刷の広告は、何かが変だ。解決するヒントは広告の中にある「IMAGINE 2020」。見方は人それぞれだが、多くの人は2020年夏の「あの日」をイメージするだろう。

    「印刷物はいろんな想像をかき立てる」

    • 広告を担当した佐藤さん(左)と行徳さん
      広告を担当した佐藤さん(左)と行徳さん

     凸版印刷は、2020年東京五輪・パラリンピックの印刷サービス分野のオフィシャルパートナーだ。16年以降、「IMAGINE 2020 Printed By TOPPAN」という広告シリーズを展開している。IMAGINEは「想像する」で、見る人に広告を通じて東京大会を思い描いてもらうことを狙っている。広告を担当した広報部のブランディング・ディレクター、佐藤圭一さん(44)は「印刷物はいろんな想像をかき立てる。凸版印刷として20年を想像してみようと考えた」と説明する。

     第1弾では、東京・新宿の新国立競技場の建設予定地に、棒高跳びやスタートラインから飛び出すランナーといった画像の印刷物を置いたシリーズを展開。今回の新聞広告は第2弾で、2020年を迎えた東京が、どのような街に変わっているかを想像してもらうため、街中で競技が行われるマラソンをテーマに選んだ。

    マラソン想定コースの路上で撮影

    • 広告を掲載して都内の路上を走らせたトラック
      広告を掲載して都内の路上を走らせたトラック

     広告の写真は、実際に都内の路上で撮影したものだ。東京大会で想定されるマラソンコース上にある建設現場の高さ2.5メートル、幅20メートルの仮囲いを舞台に設定。そこに「網点(あみてん)」と呼ばれる多数の点で画像を描き出す技術でランナーを表現した。通行人には実際の人を配置した。

     広告の舞台となった仮囲いは、撮影後にランナーの画像を消し、現在は残っていないという。一連の広告では、新聞広告だけでなく、動画広告も別途用意してホームページ上で公開している。新聞広告と同じ図柄を荷台に掲載したトラックが、マラソンの想定コースを走行する様子を撮影し、編集した動画もある。

     佐藤さんと共に広告を担当した広報部の行徳茜さん(32)は「多くの読者が高層ビルなどの建設が進む東京の街並みを目にしており、広告を通じて街並みの変化をイメージしやすいのではないかと考えた」と話す。

    広がる事業領域

    • 印刷の歴史などがわかる印刷博物館
      印刷の歴史などがわかる印刷博物館

     そもそも、なぜ凸版印刷がスポーツ分野の広告を制作したのか。

     凸版印刷は、印刷技術を核として、事業領域の多角化を進めてきた。

     現在は、書籍や雑誌などの印刷のほか、システムやデータのセキュリティー、販売促進支援、デジタルコンテンツ作成といった印刷とデジタル技術を中心にした「情報コミュニケーション」が売上高の6割を占める。残る4割は、食品や日用品向けの紙やプラスチック製容器、建装材などの「生活・産業」、ディスプレー関連や半導体関連の部品などの「エレクトロニクス」となる。

    • #063
      #063

     事業の領域が広がる一方、多くの人にとっては「凸版印刷=印刷会社」というイメージが強い。凸版印刷は東京大会が開かれる20年に創立120年を迎える。佐藤さんは「スポーツ振興に取り組む姿勢を通じて、多くの人に凸版印刷が様々な仕事を手がけている企業だと関心を持ってもらえたらうれしい」と話している。

    ◆凸版印刷
     1900年(明治33年)に大蔵省印刷局出身の技術者が中心となって創立。当時最先端だった「エルヘート凸版法」という技術が社名の由来となった。70年には国内初のコンピューター組版システムを実用化し、デジタル化にもいち早く対応した。現在は消費者向けの電子チラシ「Shufoo!」や仮想現実(VR)技術の開発などにも取り組んでいる。また、2000年には印刷の歴史がわかる「印刷博物館」(東京都文京区)を開館した。本社は東京都千代田区。2018年3月期の連結売上高は1兆4527億円。連結従業員数は5万1210人。ウェブサイトは こちら
    2018年05月31日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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