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    東芝経営危機 統治不在が招いた名門の迷走

     日本を代表する名門企業が存続の危機に立たされている。生き残りに向け、明確な事業再生の戦略を早急にまとめなければならない。

     東芝は、2016年4~12月期決算で、米国の原子力事業に関する損失が7125億円に膨らみ、最終赤字が4999億円に達するとの見通しを発表した。

     財務内容が悪化し、このままでは17年3月期に1500億円の債務超過に陥る重大局面である。

     原子力事業を縮小するほか、稼ぎ頭の半導体事業を分社化し、新会社を設立する方針だ。

     「20%未満」としていた外部からの出資受け入れ比率を、過半まで引き上げる意向を打ち出した。半導体の主導権を握られても資金手当てを優先する狙いだろう。

     だが、事業の切り売りで債務超過を解消しても、一時しのぎに過ぎない。経営の2本柱である原子力と半導体事業を縮小して、どう収益源を確保するかが課題だ。

     東芝は、グループ全体で19万人の従業員を抱える。再建の行方は社員やその家族のみならず、投資家や取引先も注視している。数多くの関係者が納得できる将来展望を示すことが何より重要だ。

     危機を克服するには、企業統治の抜本的見直しが欠かせない。

     東芝は今週予定されていた決算発表を当日になって突然、延期した。米原発子会社ウェスチングハウス(WH)での不正経理を指摘する内部通報があったためだ。監査法人の承認を得られず、東芝の決算を確定できなかった。

     WHが15年に買収した原発建設会社の会計処理を巡り、WHの経営陣が「不適切な圧力」をかけていた疑いがあるという。

     深刻なのは、東芝の危機を招いた震源地であるWHから再び、問題が持ち上がったことだ。

     東芝は15年に発覚した会計不祥事でも、経営トップが過大な目標の達成を部下に強要し、批判を浴びた。新たな疑惑の発覚と決算発表の延期は、過去の教訓が生かされず、社内改革が遅々として進んでいないことを示している。

     国内原発事業で大きな役割を担ってきた東芝の経営難は、エネルギー政策にとどまらず、国内経済にも悪影響を及ぼしかねない。

     東芝の社外取締役の小林喜光・経済同友会代表幹事は「原発事業が一企業で成り立つのか考えて、日本に残すべきだ」と語る。

     東芝危機の影響を最小限に抑えるため、関係省庁や電力会社、原発関連企業が、十分に意思疎通を図る必要があろう。

    2017年02月17日 06時05分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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