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    通常国会閉幕 疑惑追及だけでは物足りない

     重要な法律の成立では成果があったが、疑惑の追及ばかりが目立ったのは物足りない。

     通常国会が閉幕した。天皇陛下の退位を実現する特例法を巡っては、当初、一代限りの退位を主張する与党と、恒久的な制度化を求める野党の立場の開きが大きかった。

     与野党が歩み寄って、国会の見解をまとめ、特例法を円滑に制定したことは高く評価できよう。

     陛下のお気持ちを真剣に受け止め、政争は避けようという共通認識が醸成されたためだろう。

     対照的に、テロ等準備罪を創設する組織犯罪処罰法改正案の審議では与野党が激しく対立した。

     「共謀罪」を創設する法案は3回、廃案になっている。改正案のハードルはもともと高かった。適用対象を組織的犯罪集団に限定して、準備行為を要件に追加するなど、合理的な修正を行ったことで、国民の不安は軽減された。

     政府・与党が、2020年東京五輪に向けてテロ対策を強化するため、今国会での成立をぶれずに目指したのは適切だった。

     残念なのは、国会の中盤以降、野党が学校法人「森友学園」と「加計学園」の問題の追及に終始したことだ。どちらも、安倍首相や昭恵夫人と親しい学園理事長に便宜を図るような不適切な行政の有無が焦点とされた。

     野党とすれば、「1強」の安倍政権に打撃を与えるには格好の材料と考えたのだろうが、存在感を示すことはできなかった。

     結果的に、経済成長と財政再建の両立、北朝鮮の核・ミサイル問題などの大切な議論が後景に退いてしまった。その責任は、主に野党にあるが、政府・与党も十分に役割を果たしたとは言えない。

     政府が、文部科学省の内部文書の再調査を拒否し続けたのは、頑迷だった。疑惑や疑問については、はぐらかさず、謙虚かつ丁寧に説明する姿勢が求められよう。

     衆参両院憲法審査会が停滞する中、9条に自衛隊の存在を明記するという安倍首相の提言が憲法論議を活性化した意義は大きい。

     参院審査会は、07年の設置以来初めて通常国会で一回も開かれなかった。衆院も、自由討議や参考人質疑を行うだけで、改正項目の絞り込みは進んでいない。

     自民党は9条などの改正案作成を本格化させる。他党も、きちんと対案を示せるよう、党内論議を加速させねばなるまい。

     党首討論は一回も行われなかった。開催方法や時間配分など、あり方を再検討する必要がある。

    2017年06月19日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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