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    仏マクロン新党 議会選圧勝で成果出せるか

     5月の仏大統領選で勝利した勢いが、まだ続いているのだろう。今後、政権運営を安定させ、困難な改革を断行できるのか。予断を許さない。

     マクロン大統領が創設した中道新党「共和国前進」が、国民議会選で過半数を制した。選挙協力した政党と合わせ、定数の約6割を占めた。議席を持たなかった新党の異例の躍進だ。

     オランド前政権の与党・社会党などの中道左派は、議席が8割減と惨敗した。共和党など中道右派も大敗した。ルペン氏率いる極右政党「国民戦線」は伸び悩み、1けたの議席獲得に終わった。

     政権を交互に担ってきた左派と右派の既成政党が凋落ちょうらくし、中道の新興勢力が台頭する潮流が、より鮮明になったと言えよう。

     マクロン氏は就任後、首相や外相などの重要閣僚に、既成政党の有力政治家を起用し、超党派で課題に取り組む姿勢を強調した。民間人の積極的な登用によって、政権の清新さも印象付けた。

     首脳外交では、トランプ米大統領やプーチン露大統領らと、ある程度は渡り合った。

     新党を支持する有権者の間には、マクロン氏が国をより良い方向に導いてくれるという期待感の高まりがあるのではないか。

     気がかりなのは、新党から当選した議員の多くが、政治経験に乏しく、能力が未知数なことだ。他党から寄せ集めた議員の結束にも疑問が残る。

     フランスでは、2000年の憲法改正で大統領の任期が短縮され、大統領選と国民議会選が近接した時期に行われるようになった。今回の選挙から、地方自治体の首長と国会議員の兼職が禁止され、首長の出馬が阻まれた。

     こうした制度改正が、マクロン旋風に乗った新人の当選を容易にした面もあろう。

     投票率は過去最低だった。経済の長期停滞がもたらした政治不信の根深さの表れだろう。大統領選で、極右や急進左派の候補に投票した人々の多くは、国民議会選を棄権したとされる。社会の分断は依然として深刻だ。

     マクロン政権は、労働市場の流動性を高める規制緩和や社会保障改革など、痛みを伴う政策に取り組むのだろう。テロ対策も重要課題だ。経済の再活性化や失業率の低下、治安の向上が、社会の長期的な安定には不可欠である。

     歴代政権の構造改革の試みは、労働組合など既得権層の抵抗で、挫折を繰り返してきた。マクロン政権の実行力が問われよう。

    2017年06月20日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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