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    天下り全省調査 公正で透明な再就職の徹底を

     国家公務員の適切な再就職は認めつつ、不正な天下りは厳しく排除することが重要である。

     内閣人事局が、文部科学省の再就職あっせん問題を受けた全省庁調査の報告書を公表した。

     2008年12月以降の再就職者ら5535人に関して、12省庁で27件の国家公務員法違反の疑いが判明した。禁止されている現職職員の関与が25件、在職中の利害関係先への求職活動が2件だ。

     違法行為が62件に上った文科省のような組織ぐるみの動きは確認できなかったという。

     政府の再就職等監視委員会が今後、27件について違法性の有無を詳細に調査する。早期に全容を明らかにせねばならない。

     今回、「疑いの段階」として省庁名や事例の中身を一切公表しなかったのは疑問である。どんな違反の可能性があるのか、具体的に示さなければ、天下りの実態が国民には分からない。

     約40人のチームが4か月以上かけて調査したのに、800人以上から回答が得られなかった。中途半端な印象が拭えない。

     退職当時、再就職規制の内容を知らなかったOBが1割にも上った。今年1~5月だけで再就職の届け出漏れも82件あった。

     07年の改正国家公務員法は、官から民への人材登用を加速させるため、離職後2年以内の利害関係企業への再就職を可能にした。反面、現職職員による再就職のあっせんや仲介を禁止した。

     こうした現行制度について、政府は、職員やOBへの周知徹底に全力で取り組む必要がある。

     違法な天下りの再発防止策を強化することも急務だ。

     報告書は、再就職を届け出る際に、OBの関与などの経緯を詳しく記載するよう求めた。透明性を高めるとともに、不正を防止するうえで有効だろう。

     組織面では、内閣人事局への常設調査部門の設置や、常勤委員1人、非常勤委員4人の監視委の体制強化などを提言した。検討の余地はあるのではないか。

     専門的知見を持つ公務員の民間活用は否定すべきでない。天下りに関する安易な「公務員たたき」も避けるべきだ。

     公務員が意欲を低下させたり、しゅくしたりすれば、行政サービスが停滞し、ひいては国家にとっての損失につながりかねない。

     肝心なのは、公正で透明な再就職のルール作りと適正な運用に知恵を絞ることだ。早期退職慣行の是正も着実に進めたい。

    2017年06月20日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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