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    比の過激派掃討 アジアでのテロ拡散を許すな

     過激派組織「イスラム国」の影響は、中東だけでなく、アジアにも広がっている。関係国は連携を深め、拠点化の動きを阻止し、テロの拡散を防がねばならない。

     フィリピン南部ミンダナオ島のマラウイでは、「イスラム国」に忠誠を誓う武装集団による占拠が5月から続く。ドゥテルテ政権は、島の全域に戒厳令を敷き、掃討作戦を展開しているが、鎮圧には至っていない。

     深刻なのは、インドネシアやマレーシア、サウジアラビア、イエメンなどから、過激思想の影響を受けた外国人戦闘員が武装集団に加わっていることだ。「イスラム国」から財政支援を受けている可能性もあるという。

     フィリピンは、国民の大多数がキリスト教徒だが、ミンダナオ島はイスラム教徒が2割を超える。分離独立をめざす複数のイスラム系武装勢力とフィリピン政府との間で衝突が繰り返されている。

     「イスラム国」は、中東のイスラム圏の貧しい地域を中心に浸透してきた。アジアでも、小規模のイスラム系勢力を束ね、テロを活発化させることが懸念される。

     フィリピンを支援する関係国の動きが拡大しているのは、こうした事態への危機感の表れだ。

     マレーシアとインドネシアは、フィリピンとの3か国による合同パトロールをミンダナオ島沖で開始した。武装集団が島と他国を行き来し、脅威が拡散するのを防ぐ狙いがある。

     東南アジア諸国連合(ASEAN)は、情報共有や出入国管理の一段の強化が求められよう。

     中国は、装備や能力が不十分なフィリピン軍に武器を供与している。「イスラム国」の影響が中国にも広がり、共産党政権の抑圧に反発するイスラム系少数民族のウイグル族によるテロが激化する事態を警戒しているのだろう。

     フィリピンと同盟関係にある米国も、無人機などの装備を提供し、軍に訓練や助言を与えている。トランプ政権が軍事的関与を強めるかどうかが、掃討作戦の成功のカギを握ろう。

     日本は、ミンダナオ島の紛争を巡り、長年にわたり、和平に取り組んできた。一刻も早い秩序の回復に向けて、外交的な支援を進める必要がある。

     ドゥテルテ大統領は、強権的な麻薬取り締まりで人権侵害を指摘され、過激な言動も非難されてきた。掃討作戦とテロ対策に国際社会の幅広い支持が得られるよう、努めねばなるまい。

    2017年08月13日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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