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    羽生永世七冠 将棋史に刻む偉業を称えたい

     伝統ある将棋の歴史に深く刻まれる前人未到の偉業をたたえたい。

     羽生善治棋聖(47)が竜王戦で、渡辺明竜王(33)を4勝1敗で破り、「永世竜王」の資格を獲得した。同時に、7タイトル全ての永世称号を制する「永世七冠」も達成した。史上初の快挙である。

     永世竜王と永世七冠をかけて竜王位に挑戦したことは、過去2回ある。前途に立ちはだかったのはいずれも渡辺竜王だった。

     特に2008年は勝者が永世竜王となる大一番で、3連勝の後、痛恨の4連敗を喫した。この挫折を乗り越え、因縁の宿敵を相手に「三度目の正直」を果たした。

     羽生新竜王は「記録を達成できてうれしい。最後のチャンスかもしれない、と臨んだ」と語った。

     今年は、王位、王座の2冠を失い、「羽生の全盛期は過ぎた」との見方も一部にあった。将棋は、実力が如実に反映される、非情な勝負の世界である。逆風をはね返しての快勝は見事だった。

     永世七冠に次ぐのは、故大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人の五冠だ。永世称号は、長年にわたるトップの実績が条件で、一つでも取った棋士は10人しかいない。驚異的な記録と言うほかない。

     1985年に史上3人目の中学生棋士となり、19歳で初タイトルの竜王を獲得した。91年以降、無冠となった時期はない。96年には史上初めて七冠を独占し、将棋ブームを巻き起こした。

     「羽生マジック」と呼ばれる終盤の逆転力に加え、序盤にも穴はない。どんな戦型も柔軟にこなす。今回の大記録は、「羽生時代」の一つの到達点を示す勲章だ。

     知的好奇心の対象は将棋にとどまらない。チェスでも日本トップの実力を誇る。棋力で人間を超えた人工知能(AI)に強い関心を抱き、今年、著作を刊行した。

     AIは、100年考えても思いつかない手を生み出す時もあるが、絶対的に正しいわけではない。新たなものを生み出す創造性では人間が優れている――。

     過去の取材にこう答えている。その幅広い知性と創造性こそが一流棋士としての存在を支えているのだろう。通算獲得タイトルは99期で、大台まであと一つに迫った。さらなる活躍が期待される。

     今年は、中学生でプロ入りした藤井聡太四段(15)が、デビュー以来29連勝という大記録を樹立し、将棋が再び注目を集めている。

     新旧の天才がタイトルを争う夢の対局を待ち望むファンも多かろう。今後の将棋界が楽しみだ。

    2017年12月06日 06時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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