この変化は不況の影響がなにがしかは考えられるでしょう。ただしそれは「お金がない→授業料の安い大学」という直接的な影響ももちろんあるでしょうが、すでに前の号で述べましたように、不況という要因が、大学新卒者採用市場の冷え込み(就職率の低下)という現象を迂回して大学選択に影響を与えていると思われます。1990年代後半に盛んに言われた「買い手市場」、「就職氷河期」などというタームがちらほらと聞こえてきています。例えばある調査によると来春卒業予定の大学生の就職内定率は対前年で3割近く悪化していて、次の年も厳しいと予想される、などです。
大卒就職率の低さ(またはその予想)が大学の選択に影響を与えるのは国公立/私立の選択だけではないでしょう。地元の大学か、大都市の大学かという選択にも影響すると考えられます。
そこで国公立大学の所在地区別に志望者数を昨年と比較して指数で表したのが
図表3です。首都圏や近畿圏にある国公立大学の志望者は減少していて、西日本や中部地区の大学への志望者が増えています。
旧帝大等の個別の志望状況は
図表4です。全体的には「西高東低」の傾向です。東大など東京の難関校の志望者が減少しているのは地方からの志望者が減少していると推測されます。西日本の難関大学の志望者が増えているのは、これらの大学への全国的な人気の高まりを示すというよりは、西日本の受験生が西日本の範囲内で志望校を選ぶ傾向が強まっているからでしょう。また大学のタイプ別の志望状況(
図表5)は、全体として難関大学を避け、易しい大学を志望する「安全志向」が強まっていることをうかがわせます。
と言ってもこれは現時点での志望状況の傾向です。国公立大学はセンター試験後に出願をするため、センター試験の成績に強く影響を受けます。2009年の場合はセンター試験の問題が難化したため難関大学が敬遠されて志願者は減少しました。2010年のセンター試験問題が難化するか易化するかはわかりませんが、易化すれば前年とは逆の現象が起こることもあります。