教育ワンダーランド@よみうり

河本 敏浩(かわもと としひろ)
 新進気鋭の教育評論家として活躍する一方で、教育コンサルタント、予備校講師として一線の舞台で活躍している。現在、東進ハイスクール講師、学研「マイガク」製作チームリーダー。
 

●継続して新聞を読むことで、深い思考が得られる
 2011年も読売新聞の記事は、大学入試の問題に非常に多く用いられました。幅広い大学・学部の様々な科目で読売新聞の記事は使用されていますが、特に医療系、生活科学、環境、学際的な学部などで出題が目立ちました。加えてデイリー・ヨミウリからの英文の出題も目に付き、入学試験における読売新聞の発信力がますます重視されています。
 以上の点を踏まえて、具体的にどう新聞と接すればよいかというと、まずは自分の志望する学部、学科関連の記事を探して読むことをお勧めします。近年の入学試験の出題では、一般的な読解力を求める傾向が強まったのに加え、学部学科で学ぶ内容に密着した課題が多くなっているので、新聞を読むことは必須の受験対策と言えます。自分の志望する学部学科の関連記事が何面にあるのかを知り、そのページを当たり前のように読むようになれば、受験生として一人前とも言えます。
 さらに新聞を「物語」のように読むこともお勧めします。ある問題がニュースとして報道されると、それに対する分析や提言が日を置いて新聞には掲載されるものです。まずニュースの段階で自分の考えを大まかにまとめ、その後追いで分析記事や提言記事が掲載されたら、改めて自分の考えと照らし合わせてみるとよいでしょう。こういった意識で新聞に接するのは、小論文などで自分の意見をどう書いていいか分からないという悩みを抱えている人にとっては、有効な勉強法です。

 

●時事的な問題には、出題者も注目している
  具体的なテーマで見ていくと、この一年は社会的なつながりが問われています。特に無縁社会(身寄りもなく孤立して生きる人が増加している問題)や高齢者福祉に対する関心が高まり、「暮らし」という視点に立った現代的な問題が数多く取り上げられました。山形県立医療福祉大学、国際医療福祉大学、昭和大学など多数の大学で高齢者の安否確認の問題が、新潟医療福祉大学では特養老人ホームの問題が、上智大学では「無縁社会」の問題が、それぞれ問われました。高齢者の安否確認、無縁社会化が深刻になった影響だと言えます。また「臓器移植法」の改正が国会で可決されましたが、これについても入学試験の問題が増えました。これらの出題例は、時事的なトピックスが入学試験に反映される好例です。



2010/08/18 
希薄化する「地縁」「血縁」意識 社会の「無縁化」強まる懸念(解説) 朝刊掲載

●読売新聞とデイリー・ヨミウリの併読で社会性を備えた英語力を養う
 さらにこの時事問題を英文読解という点から考えてみると、英字新聞を読む大切さが実感できます。英字新聞を通して、日本の出来事を追える英語読解力が身につけば、それは社会性を備えた深い英語力となります。近年の入学試験の大きな傾向からして、英語の長文読解問題には、まさにこの生きた考える英語力を身に付ける契機とする狙いがあり、こうした英語力を習得するには、時事的な英語に触れる機会がとても重要だと言えます。
 したがって日本でナンバーワンの英字新聞であるデイリー・ヨミウリと読売新聞を併読することは、そのまま英語でものを考え、文脈を読みとっていく絶好の機会となると考えられます。そもそも英語学習には英字新聞は欠かせないものですが、このように読売新聞と併読する習慣を持てば、英語の長文と現代文の長文、小論文さらに現代史が明確な連関を持ってつながっていることに気付くはずです。単に知識だけで良いとする試験問題は今や完全に少数派です。読み、考える習慣を身につけることが極めて重要なのです。その意味で読売新聞は、デイリー・ヨミウリと共にぜひ日々手元に置いておきたい新聞だと言えます。



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