文字サイズ
    知事選、政令市長選など地方戦に関する最新ニュースをお伝えします。

    2首長「引退」一転「4選出馬」その事情と思惑

     来年、首長が任期満了を迎える能登地域の石川県輪島市と穴水町で、現職がそれぞれ4選を目指して立候補する意向を固めた。

     両氏は高齢で多選批判の恐れもある中で、いったんは引退の意思を周囲に漏らしていたが、一転して出馬を決断した背景には、同じく多選批判がくすぶりながら7選を目指す谷本正憲知事(72)の強い意向がある。来春の知事選に向けて地盤を固めたい谷本氏と、地域振興のために谷本氏との関係を深めたい能登地域の首長の思惑が一致した形だ。

     梶文秋・輪島市長(68)と、石川宣雄・穴水町長(75)が1日、相次いで出馬の意向を表明した。石川氏は体調面での不安を抱えるが、4選を果たした場合、任期満了時には80歳となる。4選は自民党の要綱や自治体の条例で、自粛を求められる「多選」にあたる。

     石川氏は今夏、谷本氏と会談した際、「そろそろ辞めさせてもらおうと思っています」と打ち明けた。すると、谷本氏から「後継者もいないのに辞めるとは何事だ」と翻意を促されたという。梶氏も同様に、谷本氏から4選出馬を強く要請されたという。

     谷本氏と能登地域との関係は深い。過疎化が深刻で財政的な基盤も弱い能登地域にとって、谷本氏による県予算の裁量権が生命線で、谷本氏との良好な関係を重視する市町が多い。

     知事選に向け、谷本氏が出馬表明した直後には、中能登町の杉本栄蔵町長が会長を務める県町長会は、谷本氏にいち早く推薦状を手渡した。先月27日には、町議会議長の有志が谷本氏に推薦状を渡したが、8人のうち、5人が能登地域の議長だ。

     先の衆院選では、谷本氏が支援した自民党の新人、西田昭二氏の連合後援会長を七尾市の不嶋豊和市長が務めた。県職員OBの不嶋氏は、谷本氏と親密で、七尾市を「県の出先機関」と揶揄やゆする声もある。

     一方の谷本氏も、知事選を控え、盤石な地盤を維持したい思惑もうかがえる。

     輪島市では現在、県が設置許可の審査をしている産業廃棄物最終処分場を巡り、地元住民を中心に反対運動が続き、市長選では、反対派の市民団体を中心に元市職員の擁立を模索する動きがある。知事選の火種に発展する可能性もあり、「奥能登をまとめるには、新人より現職に続けてもらった方がいいと知事が判断したのでは」(輪島市幹部)との観測も出ている。

     首長の多選については、地元では「特定のつながりで政治が進められてしまう」(輪島市議)との懸念の声も強い。ただ、「なり手もなかなか見つからないし、知事の7選に比べたらまし」(自民党のベテラン県議)とあきらめの声も上がる。

    2017年11月03日 16時48分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    PR情報
    PR
    今週のPICK UP
    PR
    今週のPICK UP