民主公約、中国は包囲網警戒…インドは歓迎も
民主党が17日発表した「参院選マニフェスト(公約)」は、対米関係では同盟強化を打ち出す一方、「東アジア共同体」実現を引き続き目指すとするアジア関係では、「中国の国防政策の透明性」を求めるとの文言も盛り込み、豪州や韓国、インドとの防衛協力推進にも言及した。
鳩山前政権下の8か月、関係維持に苦労した米国は、2国間関係の強化を歓迎しつつも、「実際の政策を見る必要がある」(米政府筋)として沖縄の普天間飛行場移設問題での合意実施を求めていく考えだ。
ある元米政府高官は「自民党と違いがなくなった」とした上で、「2大政党で外交の基軸である日米同盟に関する姿勢が一致するのは望ましい」と評価した。
ただ、普天間移設問題に関しては、沖縄県名護市辺野古へ建設する代替施設の位置・工法を8月末までに決めるとしている日米合意について、米政府筋は「沖縄との調整を理由にした先送りの声が出ている」と警戒感を示し、「民主党政権は、沖縄側を説得し、合意を実行する責任がある」と指摘した。
米側はさらに、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の見直しでも、菅政権が米国との協調姿勢を示すかどうか注目している。
一方、中国の胡錦濤政権は警戒感を抱く。軍近代化や海洋進出を進める中国への包囲網構築につながると見ているためで、中国は参院選を経た日本の安全保障政策の変化を注視していくと見られる。
中国にとって、日本と豪州、韓国、インドが防衛協力を深めるのは、海の出口をふさぐ行為と映る。特に、新興国同士、「最大のライバル」(中国筋)と位置付けるインドは、中国の経済発展を支えるエネルギー資源を中東やアフリカから安全に運ぶためのシーレーン(海上交通路)上で権益が衝突する。中国は「日印接近を強く警戒している」(外交筋)とされ、日中関係重視が顕著だった民主党がインドに対しどのような動きを示すのか、重大な関心を持って見つめている。
インドでは、「海軍力を誇るインドと技術を誇る日本は協力し合える」(アルジュン・アスラニ元駐日大使)など、民主党マニフェストを歓迎する声も聞かれる。だがアスラニ氏は、マニフェストが中国との間で「防衛交流など信頼関係を強化」するとした点にも注目。「中国が包囲されていると感じるような政策は望ましくない」と注文した。
日本の当面のアジア政策について、タイのチャイワット・カムチュー国立チュラロンコン大教授は、中韓両国が東南アジア諸国連合(ASEAN)への経済的影響力を強めていることもあり、「対抗策として日本はASEANへの関与を強めざるを得ないだろう」と分析する。
タイの有力英字紙ネーションの編集者カビ・チョンキタボン氏は「菅政権にとって、参院選後にハノイで開かれるASEAN地域フォーラム(ARF)が試金石」と指摘。「東アジア共同体」構想をどう推進するのか、ARF会議や10月の東アジア首脳会議で明確な方針を示す必要があると強調した。(ワシントン 小川聡、北京 大木聖馬、ニューデリー 新居益、バンコク 若山樹一郎)
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